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11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
天然痘撲滅の感動実話,
By
レビュー対象商品: 雪の花 (新潮文庫) (文庫)
幕末、荒れ狂う天然痘に対し、医師としての義務感から立ち上がった医師の半生。天然痘をテーマにした吉村昭文学シリーズの完結編といえる。
蘭学に鞍替えし、多くの同志と学び、種痘の輸入を試みる。偏見や無知のために事業はなかなか進まない。それでもひたすら知恵と勇気を振り絞り、立ち向かう姿はさながら江戸のプロジェクトXのようだ。胸を打つ史劇である。 比較的ページ数も少ないので、同筆者の作品を読んでみたいが手が出なかったという方も本書から手に取られてはいかがか。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
医者としての本来あるべき姿を見た!,
By ゆこりん (北海道) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 雪の花 (新潮文庫) (文庫)
子供からほかの子供へ種痘を繰り返し、痘苗をきらすことなく
運ぶという今では考えられない方法で、良策は福井へ痘苗を 運ぶことに成功する。だが、それで終わりではなかった。 種痘の重要性を多くの人たちに理解してもらうという大仕事が 待っていた。古くからの考え方を取り除き、新しい医学の方法を 実践しようとするとき、そこには多くの障害がある。良策が その障害を乗り越えたとき、人々も天然痘の死の恐怖から開放 された。それはとても感動的だった。私財を投げ打ってでも人の 命を救おうとした良策に、医師としての本来あるべき姿を見た。 実在した人物を描いた作品だったので、とても興味深かった。
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
役人の頭が固いのは昔から,
By ASHI "脚" (東京都文京区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 雪の花 (新潮文庫) (文庫)
江戸末期の越前福井へ種痘を広める事に人生を捧げた医者である笠原良策の話。
丁度、「大仏開眼」というNHKドラマがやっていて、天然痘の流行により病気になり、亡くなる人が多く、そればかりではないが、それもきっかけとなって大仏建立を進める、と言うものがあった。丁度その大仏建立の頃、日本に天然痘が持ち込まれたらしい。 医師でありながら天然痘の治療に関する何の知識も持ち合わせておらず、手を拱いて見ているしかない自分の悔しさ等から、当時、先進的であった蘭方医学に関心を持つようになる。蘭方医学では既に天然痘治療法がある事を知り、その種痘の技術を身につけ、痘苗を得、越前福井に伝えたいと考え実行に移す。苦難の末、福井に痘苗を持ち込んだが、今度は旧態依然とした役人及び藩医たち、或いは人民の無知のために痘苗が途絶えそうになる。「めっちゃ医者」と蔑まれ、石を投げつけられたりしながらも、子供に種痘を続け維持させる。そんなところに開明的な藩主である松平春嶽が帰藩したことにより状況が一変し、積極的に種痘を広める事になる。 新しいことを取り入れる事に対して、役人の腰が重いのは昔からなんだ、と妙に納得する。今でも、例えばDNAワクチンの先進性に役人の理解があれば、かつてのインフルエンザ騒動などは起こらないはずなのに、と残念に思うが、役人の無知により、将に天然痘の流行で死んでいく人民を手を拱いて見ているしかない、笠原良策の思いは同じといってはおこがましいが通じるところがあるだろう。だが、そこは彼らが苦労して痘苗を絶えさせなかったように、根気強く啓蒙活動を行う事が必要なんだろうな、と思う。
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