斉藤由貴主演で映画にもなった作品なので、「雪の断章」というタイトルを
耳にしたことがある方は多いかもしれません。
30年前の作品を新装版にて復刊したというものですので、多少時代を感じさせる
部分もありますが、心に訴えかけてくる物語でした。
孤児院で育ち、とある家に引き取られた少女・飛鳥。しかし、家族から冷酷な
扱いを受け、奴隷のように働かされる。理不尽な仕打ちと耐え忍ぶだけの日々
にピリオドを打つために、幼い飛鳥は家を飛び出した。
札幌の大通り公園で、行き場を失った飛鳥を救いだしてくれたのは青年・祐也。
飛鳥は祐也のもとで育てられ、やがて育ての親である祐也に対して恋心を抱き
はじめる。しかし、悲惨な殺人事件が起きたことから、穏やかな暮らしは一転。
2人の運命は動きはじめる。
育ての親への恋、殺人事件、人間の愛憎劇といった要素だけをみると非常に
ドラマティックですが、それだけではないのがこの作品。
少女の頑なな部分と繊細さ、そして魂の気高さが美しくリズミカルな文章で
綴られており、人間心理の複雑さも巧妙に描かれています。
登場人物たちの苦しく切ない心情が自分の中に入り込んできて、時間を忘れて
一気読みしてしまいました。
恋愛の要素は大きいですが、殺人事件の謎解きもあるので、ミステリ好きの人
にも愉しめる内容だと思いました。
読書好きの人には、文句なしのオススメ。
胸が締め付けられるような感動を味わえる作品です。