昔話に興味のある方には、ぜひ読んで欲しい本です。
新潟県に生まれた笠原政雄さんの語りや思い出話を、中村とも子さんが
五年をかけて聞き集め、まとめた本です。
新潟弁で語る素朴な思い出話は、読んでいるこちらの脳裏にも風景が
浮かんでくるようです。
笠原さんは昔話を150話以上も語ることができたそうです。
私は当時のゆったり流れる時間を感じては、胸を熱くして読みました。
子ども時代の笠原さんに、たくさん昔話を聞かせてくれたのはお母さんでした。
そのお母さんは、そのまたお母さんから聞いたそうです。
何代にも渡って語り伝えられる昔話には、伝えてくれた人の愛情が詰まっています。
笠原さんが昔話にまつわる思い出を語るとき、いつも母親を思い浮かべながら
語ったのだと思います。
この本には笠原さんの語った昔話が、ほぼそのままの言葉で70話あまり
載っています。
それに思い出話もドッサリ載っていますので、とても読み応えがあります。
昔話の命とは、過去の人間からの人生観や自然観を、今を生きる人間が
メッセージとして受け止め、教訓や愛情で包んで、
未来へ生きる子どもたちへ残していこうとすること・・・
と中村とも子さんは後書きに書いています。
彼女は、笠原さんの思い出話を聞いているうちに初めて、「いつくしむ」
という意味が実感できたそうです。 良い本です、本当に。