幼なじみの銀一郎、メグ、スミオ(向かって右から、表紙カバーに描かれてます)の三人の、“微妙な三角関係”の味わいがいいっすね。三角関係っつっても、深いところでお互いの気持ちがつながっているのが分かるせいかな。ほのぼのとして、愉快なコメディ見てるみたいな肌触りが、なんとも心地よくてナイスです。
<あんななんもできねーやつなのに「今自分にできることがんばるんだ」って だからさ あたしも今できること がんばって がんばって あいつのこと いつか ちゃんと応援してやりてーんだ>っていうメグの台詞にほろりとさせられたあと、<ほらっ みんなで応援しよーぜ あいつが好きな人とうまくいくように>の言葉にうろたえる銀一郎を描いたシーン。一瞬、じんときたムードが、コミカルなコメディの色にふわりと変わるんだよなあ。そこの転調する気配のおかしさ、面白さ。この漫画の真骨頂を見た気がしました。
メグとスミオが久しぶりに再会するシーンも、いいなあ。台詞のない二コマなんだけれど、メグの「あ・・・」、スミオの「やあ」の声が、心んなかに聞こえたんですよね。こういうところもハートフルで、素敵な味わいがあるなあと。
この表題作+作者が昔描いた読み切りの作品がひとつ、入っています。「しだいに明るむ君の暁(あかつき)」という作品。自分の気持ちを相手にうまく伝えることができなくてじたばたしてる登場人物たちが、夢を共有することで素直になれるって、そういう話で合ってるかな。登場人物たちの気持ちがいまいちつかみづらくて、話にすっと入っていけないもどかしさがありました。で、読んでてふっと思い浮かべたのが、山下和美の「由利香(ゆりか)」(『不思議な少年 4』所収)って作品。夢の中に現実の“自分”と違う“自分”がいるってところ、通じているかなあと。
もといっ。本書巻末のお知らせCMで、作者の別シリーズ『町でうわさの天狗の子』の第5巻が、来月11月発売というのを知りました。楽しみです。