元・火盗改め、半隠居して釣りを楽しむいっぽう、武芸百般「ふうらい指南」の看板を出している矢沢冬馬。
風野作品らしい自然体ヒーローではあるものの、寺子屋の女師匠との淡い恋、ワケアリの弟子入り志願者たちとの師弟愛、大きな剣道場の主である親友との緊張感のある関係など、「男前」な生き様がなんとも魅力です。
ワケアリ弟子のひとり、馬術を習いにくる謎の若さまの横柄な颯爽ぶりもですが、やはり親友との死闘の結末が泣かせます。
斬らざるを得ないときは、淡々と悔いなく斬る。けれどニヒルでもハードボイルドでもない、悠揚たる男のかっこよさ。
文章がときどき、生き物のようにかまくびをもたげる瞬間にも出会えます。
風野ヒーローの原型に萌えます。