『講談社創業100周年記念出版 書き下ろし100冊』の1冊でノンシリーズの作品です.
著者の作品に多い賑やかな掛け合いであったりユーモアの類はほとんどありません.
それでも著者らしさは出ており,ポンポンとリズムに乗った言葉の運びは気持ちよく,
主要人物の名前も共通性のある当て字になっているなど,なかなか楽しませてくれます.
反面,落ち着いた感じで流れる分,たまに入るツッコミや小ネタには違和感を覚えました.
また,出版社のサイトにある著者との一問一答では『原点に〜』と語られていますが,
そう言われると,物語の構成やトリックなどに
デビュー作に近い雰囲気があるような…?
ただ,帯に謳われている『スイリ小説』についてはいささか引っかかるところもあり,
真相はまだしも,謎解きなどは都合が良すぎに思えて今ひとつスッキリとはいきません.
『難民探偵』も軽く由来が語られる程度で,それほどの意味がなかったのにはガッカリ….
他にも,半分くらいまでは人物紹介的なやり取りで確かにそれは楽しく読めるものの,
もう少し『スイリ』の部分や納得のできる謎解きやトリックを展開して欲しかったです.
あと気になったのは,紙の質がコンビニある廉価版コミックスのように安っぽかった事.
100周年記念と銘打ち安くもないのですから,もうちょっと考えられてもよかったのでは.
他にも『あとがき』が無かったのは残念で,記念本への思いなどを読んでみたかったです.
(参考)
西尾維新●一問一答
http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-novels/0912/special3/#question