3部仕立ての構成になっています。
全体の7割強のページを占める第1部が雑草図鑑。「庭でよく見る雑草86種」と題して、一つの雑草につき1〜2ページの紙幅を割り当てた解説が、数点の写真とともに収録されています。
この解説が、なんとも味わい深くて素敵ですね。・・・よくあるような図鑑図鑑した味気ないものではなく、ページの隅々にまで著者の体験に裏打ちされた生きた知識、雑草に対する細やかな観察眼と愛情が刻まれていて、情緒あふれるオリジナルの記録集といった風情を醸し出しています。
また、雑草ごとに根の張りの強さや抜き方などがしっかり記述されているのも見逃せません。そうです、この本は単なる雑草図鑑ではなく、雑草と庭の関係を考える本なのですから。
そして上述しましたように、雑草一種類につき数点ずつの写真が収録されているので、草体のイメージがつかみやすいというのも便利です。ただし惜しいのが、写真の画質。なにかピクセルが粗いというかピンぼけしたような感じのものが多く、もうちょっと精細な絵が欲しかったかな。(本書に限らず何故か園芸書の写真ってこういう傾向が強いですね。)
後半の2部と3部は雑草全般との付き合い方の実践法や、マクロな生態系の中でそもそも雑草とは何ぞや?・・・みたいなことが分かる、生態のお勉強等が収録されております。
後半のパートは紙幅が少なく、あっさりした書き口です。ちと読み物としての満足感は低くなりますが、著者は幅広い生態学やオーガニック、無農薬栽培の知識などもお持ちのようで、必要最小限の大事な知識がとてもよくコンパクトにまとまっているなと思います。
タイトル通り、雑草をただ単純に憎い敵として扱うのではなく、さりとて開き直って彼らに屈服するわけでもない・・・ほど良き距離感で雑草達との共存共栄を考える、愛情あふれる一冊となっております。
この本を読みおえると、なんだか雑草たちが愛しくなって、抜くことができなくなるかもしれませんね。
良い本だなと思いました。しかし、お値段もうちょっとなんとかできなかったかなぁ。割高感は否めません。