さて、この『集客』という本、なんだか、ディベロッパーの仕事をまるで要約するかのような本でした。つまるところ、ディベロッパーの最大にして唯一の目的は「儲けること」なんですが、では、どうやって儲けるのか、ということに対して、ディべロッパーは今までは、ビルを作ってオフィスとして貸したりマンションを作って売ったり、たまにディズニーランドを作ったり、ということをしてきました。ところが、最近の都市開発を見ていると、その最大のポイントは「商業施設」になってきているようです。例えば、六本木ヒルズ、果たして、六本木ヒルズに「Yahoo Japan」がテナントとして入っていることにどれだけの人が興味を示すでしょうか?恐らく、ほとんど、そんなことはどうでもよくて、「Grand Hyatt」が入っていること、「LOUIS VUITTON」があるから、 村上隆のデザインしたキャラクターがかわいいから、「六本人になろう」のキャッチはいまいちだった、等など、要するに(笑)、そこにある(exist)という理由によるイメージとは完全に離れて、そこにあるソフトによるまさに「集客」競争が、街の間で起きている、というのが現実に存在していると思うのです。その中で、「集客」のするためのソフトウェアとして、本書でインタビューを行い紹介される「デジタルコミュニケーション」「飲食」「宿泊」「アート」「SC」「エコ」「メディア」「観光」「駅」「東京」「お笑い」「NPO」といったキーワードがどれだけ今の都市を語るにあたって、ソフトが大切かどうかを示している。しかも、一義的にこうしたソフトウェアは、場所の持つ歴史性を飛び越え、あたかも、インターネットの中を光速で行き来する「情報」であるかのように振る舞い、あっという間に全てを古くし、そして、意味を限りなく希薄にする。しかし、二義的には、実は、これらのソフトウェアの組み合わせは、その場所の歴史が持つ人々のイメージを、逆説的に作り出すこともある。つまり、人々は、今では「東京」というものにほとんど価値を見ていない。なぜならば、一つ一つの街が、あらゆる意味を包含した「都市」になりつつあるから。しかし、海外に行くと初めて気づく、そう、東京は唯一にして無二の都市であり、六本木ヒルズは、なぜ六本木に出来たのか?ということに。ディベロッパーは、決して、あなたをだまそうとはしていない。けれども、あなたの想像以上にしたたかに、あなたのイメージに入り込んで、そして、街のブランディングを図ろうとしている。素直に本書を、現代都市論として、読めば、きっと都市をおいしく食べる方法が見つけれられます。ぜひ一読を!