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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「運命」という言葉で片づけない強さを,
By 花逢 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 雁 (新潮文庫) (文庫)
百年近く前に書かれた本を現代に生きる私たちが読む価値はどこにあるのか?・・・漱石などにも同様に感じることがあるのですが,読み始めるとそんな講釈はどこかにいってしまうあたりにいつまでも読み継がれている理由があるのでしょう。「小説の読み書き』で佐藤正午氏が,たかが”鯖の味噌煮”ごときものが,男女の人生を狂わせるということについて,自らもそのアイデアを借用し書き上げた小説があると述べていました。「こんな話どこかで読んだことがあるなぁ」と高校生の時に初めて「雁」の読み終えたときに思いましたが,それは鴎外氏に対して失礼の極みというものだったのですね・・・前口上は別として,鴎外の作品にしては,読みやすく,なぜか何年経ってもあらすじを話すことができる作品です。高校の教科書からも消えつつあるようですが,是非,我が息子もいつの日か手にとり,携帯電話などない時代の明治インテリ人の恋の苦悩について思いをはせてもらいたいものだと願うばかりです。「取り返しのつかない一瞬は後から振り返ってわかるもの」という真理はいつの時代も変わらないものでしょうから。しかし,その一瞬を逃したことを”運命のいたずら”などという言葉で語ってしまうのは,結局,弱者の言い訳にすぎないのではないでしょうか。どうせ”運命”に”いたずら”されっぱなしの人生なら,次なるステージに起こる予測不能な出来事をしっかりと受け止める強さを信じたいと,今回云十年ぶりに再読し,高校生の時には感じなかった読後感を得られるのはやっぱり歳を喰ったせいかもしれませんね。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
無縁坂,
By 御奴 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 雁 (新潮文庫) (文庫)
銭湯帰りにふと振り返ったときに目が合うとか、格子窓越しに会釈をするとか、二人が静かに通じ合う場面が運命のように描かれていて、それが鮮やかで印象に残りました。無縁坂や不忍池のあたりを歩きたくなります。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
鴎外、現代物の傑作,
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レビュー対象商品: 雁 (新潮文庫) (文庫)
不幸な女性が、自我に目覚め、自ら行動しようとしたが、「偶然」のいたずらで挫折します。高利貸末造の妾お玉は、囲われている無縁坂の家の前を毎夕散歩で通る医学生岡田に恋心を抱きます。 お玉は、二人きりになる機会をやっとつくったのですが、偶然に阻まれて果たせません。岡田はドイツ留学へ・・・ そして、岡田の投げた石で不忍池(しのばずのいけ)の雁が偶然死んでしまいます。 お玉の運命のように・・・ 鴎外氏が長く文壇から遠ざかっていたころ、漱石の活躍に刺激されて文壇に復帰されたころの作品です。 鴎外氏は、自然主義への批判をこめて「イタ・セクスアリス」を書き、漱石の「三四郎」を意識して、「青年」を書きます。「雁」もこの頃の作品です。 興味のある方は、一読をお勧めします。
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