成功事例として取り上げられているのは、米航空業界の熾烈な競争を勝ち抜いてきたサウスウエスト航空、ネットワークの覇者シスコシステムズ、紳士用衣料チェーン店のメンズウエアハウス、ソフトウェア企業の大手SASインスティチュート、医療サプライ(医療機器、医療用品)販売業のPSSワールドメディカル、独立系電力会社のAESコーポレーション、トヨタとGMの合弁会社NUMMIの7社である。さらに、これらの7社と多くの類似性を持ちながら、必ずしも十分な成果を上げられずにいる事例として、半導体のサイプレス・セミコンダクターが取り上げられている。
著者によれば、成功事例の特徴は、社員の中に秘められている価値を引き出し、才能をフル活用している点だ。7社は社員参加、ロイヤルティー、仕事を楽しむセンス、低い離職率、高水準の財務実績という点で共通している。社員中心主義の価値観がはっきりと会社の基盤にあり、日常の細かい経営慣行がその価値観と一致している。
優れた人材を確保しても、卓越した「戦略」を立てても、それだけでは十分ではない。連続的な高業績を支えているのは、基盤におかれた強固な価値観であり、またそれを支える日々の慣行である、という。紹介された成功事例には、日本の企業経営に共通する点が多い。
本書は、読んでおもしろいという点で、かつての『エクセレント・カンパニー』に通じる魅力を持った本だ。AESのように、日本であまり紹介されない事例も含まれている。(榊原清則)
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価値観、企業文化の強調、CEO自らこれら価値観を(一貫性と整合性を持って)維持することが仕事、など読むにつれ「ビジョナリーカンパニー」を思い出すところもありましたが、人間の持つ普遍的な性質(誤解を恐れずにあえて言えば性善説)を拠りどころにしている点が共感でき、かつ非常に説得力があります。オープンブックマネジメント、サーバントリーダーシップ等最近聞く経営用語も出てきますが、それらは本書で取り上げられている社員(人)中心の経営とそれを持続するための仕組みの一部に過ぎない、そんなスケールを感じさせる内容です。
今の日本でもこの本に書かれていることを信じて実行できる会社、組織はきっと伸びますね。
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