故黒澤明監督作品。戦乱で破れた国の姫を友好国に脱出させるために、家臣が放浪していた百姓2人を道連れに金二百貫をもって敵国突破を試みる冒険活劇。
特典映像で監督が話すように、解りやすくて面白い映画がいい映画だ、の言葉がぴったりの映画。主人公が機転と技量で数々の困難を突破するRPGの先駆けのような内容に、欲に目がくらんで懲りない失敗を繰り返す人間の性がユーモラスに描かれており、見所は尽きない。本作品で強調したい点は、エキストラを含めたすべての配役が危険を顧みないアクションを演じていることである。冒頭の数百人の奴隷が暴徒と化して石段を駆け下りる危険な映像には鳥肌が立った(危ないって)。CGに頼る現在では絶対に撮れないように思うし、『パフューム』のラストなど比べものにならない。三船敏郎が疾走する馬上で戦うシーンも危険なアクションを本人が演じている。
冒頭の落ち武者が空に手を伸ばしたまま息絶えるシーン(死後硬直がはじまる前にこのような姿勢で死亡することはあり得ない)や、槍での決闘シーン、ラストの城内シーンなどやや芝居がかりがすぎる感もするが、時代考証やリアリティーを度外視した娯楽ものの演出と見るべきだと好意的に解釈したい。付録の冊子にある上原美佐(雪姫)の普段着のスナップ写真は、劇中の雪姫よりも美しい。
伝えたい映像を表現するために、現在はCGを多用しているが(それ自体は否定しないが)、そのようなもの抜きに娯楽作品に必要な要素は何かを考えさせられる作品として勧められる。このシリーズはとにかく値段が高いのが難点であることと、個人的には『赤ひげ』や『七人の侍』の方が好きなので、これと比較する意味で敢えて星4つとしたが、星5つとする他のレビューにも異論はない。