アルジェリアをめぐるフランスの現代史に予備知識がなく、フランス語にも興味がなければ、この映画を見ない方がよいかもしれません。駄作ではありませんが、筋の展開がまどころっしく、カメラ運びも冗長なのです。1960年前後、フランスはアルジェリアをめぐって大騒動のときで、結果的にアルジェリアの独立を認めるのですが、フランス軍はアメリカ軍、日本軍同様、やはり相当数の住民虐殺をやります。自由を尊ぶ国も、植民地の自由独立には過酷でした。勿論、フランス国内にもアルジェリアの独立を支持する知識人層はおり、その1人が主人公の父親であり、まさにアルジェリアへの“やましさ”から親を亡くしたアルジェリア人の子供を養子にします。主人公は7歳でいきなりアラブ系の兄弟ができて、兄弟喧嘩も絶えなかったようですが、最後は“(養子が)血を吐いた”という彼の告げ口で養子も家を出され、施設へ移送されます。なぜかって?映画を見た大半の人は理解できないでしょうが、20世紀では長い間“血を吐く”=結核患者という認識があったからです。結核の怖さは、今風に言えば、エイズ以上だったようです。まず、こうした告げ口した“やましさ”も主人公は持っていたわけです。
以上を知っていれば、もう少しこの映画は楽しめるかもしれません。ただ、結末はどうなるのかという普通の視角は最初から捨てて主人公の不安心理に集中した方がよいかもしれません。“やましさ”という罪障感を感覚的にとらえているという点では、他の理屈っぽいフランス映画より、むしろ見やすい映画です。
難解なテーマ設定はなく、セリフ一つ一つが理解しやすく、フランス語を少しでも話す人は字幕なしで鑑賞した方が楽しめます。語学の勉強には最適ですね。恐らく中級レベルのフランス語ですし、パリの発音だからといって、よくあるような超早口の場面も殆どありません。