内容(「BOOK」データベースより)
一九五四年三月一日、水爆ブラボーの閃光がマーシャル諸島の上空を切り裂いた。半世紀経った今も、島民の伝統的な暮らしや文化に多大な変容をもたらした「死の灰」による汚染と後障害の全貌、そして「人体実験」疑惑の真相は米核政策の闇の中に隠ぺいされ続けている。住民の証言や米公文書の分析、見舞金がもたらした社会的影響の調査などを通じて、封印されてきた「完全決着」「日米の政治決着」の責任を明らかにし、時効なき核被災の広がりを検証。
著者からのコメント
●新刊案内(『東奥日報』2005年7月12日)
広島、長崎への原爆投下から60年。その節目の年に、原水爆禁止運動の原点となるビキニ水爆実験を検証する1冊が、20-30代の気鋭の研究者たちによってまとめられた。ビキニ水爆実験は1954年、米領マーシャル諸島ビキニ環礁で行われた史上最大級の核実験で、大量に降り注いだ死の灰によって、現地住民や日本のマグロ漁船・第五福竜丸が被ばくしたことで知られる。被災問題は経済的補償によって「完全決着済み」(米政府)とされるが、それに異を唱えているのが編著に当たったグローバルヒバクシャ研究会と、ビキニ問題の先駆者として監修に当たった軍事研究家の前田哲男・東京国際大学教授だ。彼らは機密解除されたばかりの米公文書はじめ、現地調査で得た情報など膨大な資料を駆使。第五福竜丸事件について、米政府が情報コントロールによって世論の沈静化を図った事実を浮き彫りにするほか、被災が爆心地から500キロ以上離れたアイルック環礁にまで及ぶ新事実を明らかにする。また、被ばくは、がんなどの健康被害だけにとどまるのか問いかける。