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随時見学可 [単行本]

大竹昭子
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商品の説明

内容紹介

「まもなくしてY字路に出た。いま来た道と分かれて住宅街に入っていく道が先に延びていて、二股のあいだには切り分けたケーキのような形のマンションが建っていた。オリーブグリーンというちょっと変わった色で、〈入居者募集 随時見学可〉という看板が掛かっている。築30年はたっていそうなほど古いのに、外しそこなったのだろうか、それとも下ろす間もないくらい出入りが激しいのだろうか」
表題作のほか、「本棚の奥の放浪者」「ハウスシッター」「水のゆくえ」「タイ式マッサージ」「狐塚公園」「ミステリー・ファン」「キリ番ゲット」「木造モルタル」「ごみ入れや浴室マット」を収録。『図鑑少年』刊行から10年、待望の著者2作目の小説集である。
街やインテリアのたしかなディテールに支えられつつ、一人称単数を削ぎ落とした文体から、変容する都市風景と人間関係、溶けていく「わたし」の身体感覚、日常のなかの「エピファニー」があざやかに描き出された全10篇。

内容(「BOOK」データベースより)

『図鑑少年』から10年、待望の著者2作目の小説集。変容する街の風景、溶けていく「わたし」の身体感覚、日常のなかの「エピファニー」があざやかに刻まれた全10篇。

登録情報

  • 単行本: 208ページ
  • 出版社: みすず書房 (2009/4/18)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4622074567
  • ISBN-13: 978-4622074564
  • 発売日: 2009/4/18
  • 商品の寸法: 18 x 14 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 656,734位 (本のベストセラーを見る)
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形式:単行本
 本書の著者は、学生時代のクラスメイトです。物書きにな
ったのを知り、デビュー作の『バリ島不思議の王国を行く』
(1986)は読みました。しかし、その後創作まで書いている
とは知りませんでした。興味をもって、第1創作『図鑑少年』
(1999)と合わせて読んでみました。
 日常生活のふとした機会にそこを外れてしまい、幻覚や
幻視にとりつかれてしまう、そのチグハグさが点描されてい
ます。その意味では表題作の「随時見学可」をいちばん面
白く思いました。また、夫が亡くなってから彼との淡い絆を
ふり返る「ミステリー・ファン」にも、ほぼ同年齢の者としての
共感を覚えました。本書は、五感が生きるアナログ世界への
愛着と感傷を、それとは対照的な無機質な言葉で綴るその
アンバランスが妙味と言えるかもしれません。この不思議な
世界を解く鍵は、『図鑑少年』のあとがきにあると思います。
 「都市は『わたし』の故郷であり、見知らぬ土地でもある。
(中略)都市に生きる人々の意識(は‐中略)、とどまるとこ
ろなく動いている。そのとき、『わたし』というものがだれなの
か、もうわからなくなっている。」
 そういえば、学生時代にいただいた暑中見舞いには、刻々
と変わる雲の形を記し、色川大吉『ユーラシア大陸思索行』
を読み進めているとありました。形状への好奇心と旅心、こ
れが彼女の変わらぬ本領なのかな、そう思いました。
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形式:単行本
この作家独得の物の見方がよく表れている文章。構成力にたけると思った。

「そうなんだよな、小説って作品なんだ。」とあたりまえのことに感心する。
まとまり、トーンの統一、落ちのようなまとめ。など、読者をうまくだましてくれる仕掛けが必要なのだが。この本ではそれらが見事に満足させられる。そして須賀敦子さんの本にあるような香り。

特に一作目は傑出している。

要注目の作家
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By micmac
形式:単行本
愛すべき、でもちょっぴり病的な珠玉の短編作品集。
日常の闇の奥に潜む現実というものの謎を、仮想の現場から検体として切り出して培養した現代風の怪奇短編集というべきか。明瞭な輪郭をもつイメージの向こうに、「現実」の底なしの怖れと不思議がかいま見える。生身のリアリティーが、日々、希薄化していくなかで、身体とともに「生きている」ことの確かな手応えをよみがえらせてくれる薬効が、この本にはある。それは、読書の愉悦を満喫しながら、巧みに仕組まれた心の蘇生術に身をゆだねるよろこびともいえる。たとえば20ページたらずの掌篇「ミステリー・ファン」。いまは亡き夫の気配に寄り添い、残されたミステリーをひもときながら「別の世界」に入っていく女性の靜かな生活を淡々と語る。深く美しい慟哭を行間に忍び込ませる慎み深い文章作法は、読む人の意識の深い層にやさしく作用して、心の凝りを溶解させる。それぞれの作品に用意されたそのような仕掛けは、この作者が本格的な作家であることを実証している。
「タイ式マッサージ」「木造モルタル」「ゴミ入れや浴室マット」と、なんとも日常的で素っ気ないタイトルが並ぶが、薄板一枚の扉の先には、現実と幻想のあわいにただよう白色光の濃密なミストルームが現れる。全10編。速読の人であれば5時間で読み終わるだろう。でも、良質のショコラはゆっくり口に含んで美味しさが開いてくるのを楽しみたい。「随時見学可」という奇妙な書名のこの本も例外でない。
ただし、読み終わったあとに副作用がある。一人で旅に出たい誘惑にかられるのだ。本のオビには「東京小説」とあるが、できれば都会を離れ、列車にゆられながら、もういちど最初からページを開きたい。なにげない装丁も好ましい。

こんな人におすすめ =>離人症・自閉症ぎみの人、自己・非自己がせめぎあう免疫系・動的平衡の機序に関心のある人、モバイルツールで読書する人、現実世界への一歩を踏み出せないでいる17歳、そして、たまにはあてのない一人旅をしてみたい人。
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