マルクス経済学から空想的部分や政治の手垢を取り除き、純粋な階級理論の形にしたとき、どこまで現実社会を斬るツールになりうるのか。マルクス主義への失望や終焉感が一般的な(と思われる)中、おそらくこれは果敢な試みだったと思います。筆者の論理は明快。文体も晦渋ではなく、畑違いの私にも教科書のように読めました。個人的には、収入の得方が変わった時なぜ私の周りのすべてが変わったのかを、階級論という視点から説明してもらった、という感じ。それくらい現実感をもって読める本です。多分わざと軽い文章で書いておられるのでしょうが、所々に著者の学問的苦闘の歴史や熱い思いが覗き見えて、こだわり続ける学者とはこういうものなのだ、との感慨を深くしました。