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隋の煬帝 (中公文庫BIBLIO)
 
 

隋の煬帝 (中公文庫BIBLIO) [文庫]

宮崎 市定
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

父文帝を弑して即位した隋の第二代皇帝煬帝。中国史上最も悪名高い帝王の矛盾にみちた生涯を検証しつつ、混迷の南北朝を統一し、東洋史において重要な意義を持つ隋時代を詳察した名著。隋国号を考証する「隋代史雑考」併録。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

宮崎 市定
1901‐1995。長野県飯山市に生まれる。1925年、京都大学文学部東洋史学科卒業。60年から65年にかけ、パリ、ハーバード、ハンブルク、ボフムの各大学に客員教授として招かれる。専攻は中国の社会・経済・制度史。89年、文化功労者に顕彰される。もと京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 270ページ
  • 出版社: 中央公論新社; 改版 (2003/03)
  • ISBN-10: 4122041856
  • ISBN-13: 978-4122041851
  • 発売日: 2003/03
  • 商品の寸法: 15 x 10.7 x 1.3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
時の人 2006/6/20
形式:文庫
 煬帝。この人物の評価には大別して二つの評価があるように思います。一つは、煬帝凡人説。本来取り立てて取得のなかった人物が、運命の巡り合わせで統一帝国の帝位をいう重責を与えられてしまったが故に破滅してしまった、というもの。一つは、煬帝天才説。時代を先取りすること唐の太宗に比すべきであり、その余りの先進性が祟って先駆者の悲劇を一身に浴びて破滅してしまった、というもの。この二つです。著者はこの中で前者の立場を採り、煬帝は典型的な南北朝人であり南北朝国家の君主であった事を説いて行くのが本書の要旨となっています。煬帝を徒に悪逆非道な暴君と描く伝記は今ではもう無いでしょうが、煬帝の蛮行は一見しては拭い難いでしょう。その点、著者の批判は煬帝本人より寧ろその時代相、その代表としての父文帝に向かいます。敵性には残忍で、臣下を信用せず、一族を冷遇した文帝の子なれば、煬帝の蛮行も決して不可解でも何でもありません。大体、悪魔が突然舞い降りて国を滅ぼすなどあり得ない。悪魔は作られるものです。名君が人格者であり良き父である、というような事は実に安易な理解で、このような考えが千年ばかり罷り通って来たのかと考えると、歴史を実生活を通じて現実につき合わせて考える人間がどれほど少なかったかを示していると思います。同時代史ともいえる隋書には、しっかり「高祖より起こり、煬帝に成る」とあるというのにです。要するにこれは「現実と空想の区別のつかない」人間がこの世界には圧倒的多数であることを如実に物語っているのではないでしょうか。著者は「人間関係を究明する」事が歴史学の目的と語られているのですが、本書では南北朝という時代から個人を捉えているという自家撞着を孕んでいます。しかし、個人の関係を突き詰めた向こうに社会を見た著者は、逆説的に当時の社会経済の実際に肉迫したのだ、ということができると思います。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Morning glory トップ1000レビュアー
形式:文庫
 著者の宮崎氏は、中国史を読んでいるとしばしば参考文献などに出てくるその道の大家。私はこの本で初挑戦でした。
 
 内容的には煬帝のみでなく、その父祖の時代にさかのぼった隋という国をめぐる興亡記を、後代の小説などによらず、史書などにより出来るだけ潤色を加えずに描こうとしたもの。研究書ではないので、物語を読む感覚でサクサク読めます。
 底本は昭和40年刊「隋の煬帝」(人物往来社、中国人物叢書)。それに昭和34年に「史学研究」に掲載された「隋代史雑考」を併録したものです。
 
 実は研究書を期待して買ったので、本編の物語部分はちょっと「ふーん……」という感じでした。隋代だけを取り上げて1冊、という本は他になかなかないので、その意味では貴重ですが、昭和40年のものですし、失礼ですがさすがに古いかなー、と思われる部分もある。
 
 でしたが、最終章に至り、まとめに入るにいたってものすごく面白くなってきました。
 それまで人物の運命を中心に語られてきたいろいろな事柄が、違う光を当てられて輝きだすというか。
 また併録の「隋代史雑考」が面白い!四篇あって、どれも割と細かいテーマなのですが、論旨がすっきりしていて分かりやすい。堪能いたしました。

 その部分でポイント復活、買って悔いなし!という感じです。
 概説書なども読んでバランスを取ったほうが良いと思いますが、隋に興味があれば面白いのでは。
 
 
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形式:文庫
宮崎市定『隋の煬帝』を読む。
中国史上で悪名高い煬帝の生涯を独自の視点で読み解く。

礪波護の解説にこうある。

   軽やかな筆致でつづられた本篇が、
   この付篇のごとき厳密をきわめた文献考証の積重ねによって
   裏打ちされていることを知って驚嘆される方もおられるだろう。

                          (p.270)

確かにそうなのだ。
宮崎の文章を読んでいると煬帝の頃の中国王室や
それを取り巻く人物模様がくっきりと浮かび上がってくる。
権力への欲望、そして肉親同士が疑い殺戮しあう世界である。

宮崎の文章は付篇「隋代史雑考」を読めば分かるとおり
史料を注意深く丁寧に読み解くことから生まれる。
決して面白おかしく読ませるための創作ではない。
漢文ばかりのこうした史料を独力で読むのは僕には難しい。
宮崎の本篇と読み比べてようやく中身が想像できる。

宮崎はこれまでの歴史学の常識を疑い、
それをくつがえす論考をたびたび試みる。
こうした史料に別の角度から光を当て
文脈を探し出す地道な作業の果てに新学説が誕生する。
宮崎の高弟・礪波が「隋代史雑考」を文庫に収めた意図は
そうした宮崎の思索過程を読者に示すためにある。

碩学であり異端児。
歴史の見方を変えるための補助線を随所に持つ著作。
宮崎との対話は今年もやめられない。

(文中敬称略)
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