「X/ラストメロディー」「帰り路をなくして」に続く、連続リリース第三弾!は、「あなたをさらってしまいたい」という情念の歌。
かつて、貴方はどこまでも追って来ると分かるから逃げられないと「眩暈」で歌ったかと思えば、「愛だなんて僅かなものを頼りにした」(「蛍」)とも歌う彼女には、愛を信じ切れない一方で、どうしようもなく「貴方」に縋ってしまう孤独をいつも感じます。
カップリングの「愛の台詞」が、洋楽の影響を強く感じさせるバンド曲(声質で言えば「NOW」に一番近い)ながらも、その甘いタイトルからはかけ離れた、愛への皮肉を混ぜたような歌詞になっている理由も、そんな愛情への不信にあるのかなと勝手に思っています。
しかし、表題作は、年々深みを増す鬼束さんの哀愁で、「それでも誰かを求めずにいられない情念」を彩った歌だなあと思いました。「あなたがいなければそれが全て」とまで歌う渇望の歌です。
「茨の海」の「追い風視界笑い声」という懐かしさを感じさせる歌詞が自分は好きなのですが、この歌も叙情的な表現が織り込まれているのが良いですね。
YouTubeで公式に公開されているPVは、和服姿で砂浜を歩く鬼束さんがパッと消えてはカラスになり、また戻るというもの。ジャケットと封入されたイラストもそうですが、他の方もおっしゃっているように、初期のナチュラルなイメージを覆す妖艶さです。
アルバムへの布石としてもオススメな、妖艶にして孤独な情歌。