現代日本人の伝統的な社会観や美意識を支えているのは武士道である。最近、映画『ラスト・サムライ』を機に、その見直しが盛んに行われているが、その武士道の根っこの部分の思想を形成しているのが、本書で取り上げた「陽明学」である。陽明学は、日本では江戸時代に盛んに研究された儒教思想の一つなのであるが、その教えは、日本人の人生美学として生き続けていると言っていい。数多の思想の中で、なぜ、陽明学がそのような影響力を日本人に対して与ええたのか? 本書では、その特徴と魅力をより正しく伝えるため、江戸期の優秀な陽明学者であった大塩平八郎が、現代に蘇って講釈するという、かなり破天荒ではあるが面白い形で、これ以上ないわかりやすい解説を試みた。不思議なほど腹に落ちる、陽明学に志すための、最初の一冊として、強くお薦めしたい。
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