日本軍戦闘機の中では珍しい、一撃離脱戦法を得意とする重戦闘機である二式単戦と四式戦。
高速性とある程度の運動性、そして十分な防御力をを併せ持つ戦闘機であり、
敵であった米軍や、後世のわが国の出版物では高い評価を得ています。
そのニ機種が活躍したと言われている中国戦線での戦歴を、米中軍機の損害と照らし合わせて解析したのがこの本です。
大変細かい調査が必要であり、著者の梅本氏の努力・執念には頭が下がります。
調査の結果、従来日本側で記録されていた撃墜数と比べると、
米中側の喪失機数はかなり少ないことが判明します。
中国戦線での日本軍の撃墜戦果は3倍〜5倍多く誤認していると考えていいでしょう。
ただこれは日本軍だけではなく、米軍の記録では「日本機10機撃墜」でも日本機は1機しか
落ちていなかったりなどがしょっちゅうで、米軍も撃墜数を数倍に誤認していたものと思われ、
敵味方通じて、撃墜の判定は本当に難しいのだと唸らされます。
また二式単戦、四式戦ともに、性能では上回っているはずのP-40に
かなりてこずらされていたことが分かります。
むしろP-51とのほうがいい勝負をしている、というのが意外な感想を持ちました。
このように航空史に興味がある方には必読の資料ですが、ページ数が100ページ強で3000円近くという
価格設定は庶民の財布には辛いものがありますので、星4つとしました。