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陸奥宗光とその時代 (PHP文庫)
 
 

陸奥宗光とその時代 (PHP文庫) (文庫)

by 岡崎 久彦 (著)
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   陸奥は、明治を代表する外交官であり、日清戦争の講和条約である下関条約において、全権として活躍したことが知られている。その出自は江戸幕府御三家である紀州藩士であり、それだけに薩長藩閥が取り仕切る明治政府にあってはながく官職に恵まれず、西南戦争の際には政府転覆を画策したとして逮捕の憂き目にも遭っている。廃藩置県直前に紀州藩の藩政改革を断行し、徴兵による近代兵制を整えるなど、その持てる才は明治の俊秀たちの中でも抜けたものがあったが、時代はそれを十分に生かしきれてはいなかった。

   陸奥がその力を存分に発揮し始めるのは、明治政府の永年の懸案であった条約改正の任に当たるようになってからである。そしてその後、下関条約とその後の三国干渉を乗り切るまで、もっともよく陸奥を理解し、その能力を全開にさせたのは伊藤博文だった。その意味で伊藤もまた政治の天才であったことが知れる。彼らによる当時の日本の外交力は世界に冠たるものであり、それが日本を先進国に押し上げたことが、本書からうかがわれる。それはおそらく、日清・日露の両戦争に勝利した以上の役割を果たしたといってもいいのだろう。

   陸奥は死の間際に「健康が回復したならば、総理になって、三十年来の抱負を実現する」と語っていたという。おそらく陸奥が健在であればそれは十分可能だったであろうし、もし陸奥が薩長の出身であれば、それはおそらくすでに果たされていたはずである。明治という日本の近代化を実現した時代を、もうひとつの視点から描いた1冊である。(杉本治人) --This text refers to an out of print or unavailable edition of this title.



出版社/著者からの内容紹介

著者には、すでに『陸奥宗光(上下)』(PHP文庫)という著作がある。これは、陸奥宗光の一生を描いた長編評伝である。その著者が、なぜ再び陸奥宗光を素材に、『陸奥宗光とその時代』と銘打ち本書を著したのか。その意図は、まさに「その時代」の4文字を付したところにある。

つまり、英国との条約改正を成功させ、三国干渉を素早く収拾した陸奥宗光という、明治日本の生存と尊厳を守り抜いた外交官の波乱の生涯をとおして、日本における近代とは如何なる意味を持っているのかについて、客観的な論考を試みようとした点である。

この試みにこそ、元駐タイ大使であり、外交史の研究家としての、なみなみならぬ意欲がうかがわれるのである。

本書は、小村寿太郎、幣原喜重郎、重光・東郷、吉田茂と続く、「外交官とその時代」シリーズ全5部作の第一弾である。外交史、近現代史の研究者はもちろん、明治以降の日本の歩みを考えるうえで恰好の読み物である。


Product Details

  • 文庫: 617 pages
  • Publisher: PHP研究所 (2003/03)
  • ISBN-10: 4569579205
  • ISBN-13: 978-4569579207
  • Release Date: 2003/03
  • Product Dimensions: 5.9 x 4.3 x 1.2 inches
  • Average Customer Review: 4.7 out of 5 stars  See all reviews (7 customer reviews)
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12 of 13 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 日本人のみんなに読んでほしい!, 2005/5/8
By A Customer
600ページの長編であるが、面白い。啓発される。そして、これまで教えられてきた明治維新以降の歴史観が「薩長史観」だったということに気づかせてくれる。薩長閥で占められていた権力構造のために、我々は知らぬまに、薩長の観点からの歴史観・物の見方をさせられていたわけだ。
本書のすぐれている点は、1現代の視点と2その時代の通念である時代精神の視点という複眼から、外交史を軸に、該博な知識のもとに人物を描き出し、そこに目からうろこが落ちるような「見識」が見られるところにある。私は、アンダーラインを引きっぱなしで、書棚から陸奥宗光の著書『蹇蹇録』などを広げずにおれなかった。刺激を与えられ続けた。日本のデモクラシーの成立過程が理解できるなど、論点がぎっしり詰まった啓蒙書だ。
小学生でも読めるようにほとんどの漢字にルビがふってある。そこに国民教科書でありたいという気迫が感じられる。日本国民に訴え、やがて英訳して世界に訴えたいという魂のこもった一級の評伝である。
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9 of 11 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 列強への道, 2003/3/6
このレビューの引用元: 陸奥宗光とその時代 (単行本)
障子の小さく破れた穴から見える世界が全てだった日本が、突然障子が倒れ大きく広がる世界を目にする。世界の中の日本という位置付けを知り、新たに開かれた枠組みで、また新たに日本の位置付けを構築する。
明治の人が何を目指し、何を追い求めたのか。

それを、後世の人間だからこそ見える客観情勢の主人として、世界情勢を把握し、高いところからその時々を眺められる場所へ連れていってくれる。
物事を判断するということは、1つの要素が欠けてしまえばその判断は狂う。何かに捕われれば、真直ぐに物事を見る目が失われてしまう。そういった誤差を丁寧に排除し、歴史の姿をとんっと目の前においてくれる。

歴史に切断は無く、絶間無く続く時の中で、陸奥宗光が、伊藤博文が、そして明治の人が作り上げ、今に残してくれたものをここへ描写し、また後世へと繋ぐ1本の襷のような本でありました。

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2 of 2 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 大変面白い, 2007/6/6
政治家というと所謂欧米のケネディとかゴルバチョフが今でもテレビ等で取り上げられていますが、この国にも陸奥宗光、小林寿太郎のような能力は勿論、人間的にも優れた政治家がいたことを日本人として誇りに思うと同時に、一般的にあまり知られていない現状を悲しく感じました。
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5.0 out of 5 stars ■陸奥宗光を通して帝国主義時代の生々しい空気感に触れ、現代社会成立の淵源を知る。
■■法律・近代的軍隊の整備、
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諸外国との駆け引きなどは、... 続きを読む
Published on 2007/8/24 by 【魔法戦艦リュケイオン】月臣くにひと

5.0 out of 5 stars 豊かな素養に支えられた「生きた」外交史
とにかく面白い。「外交官とその時代」シリーズ全体について言えることだが、教科書的に叙述してしまえば砂を噛むような歴史でも、著者の筆にかかると歴史の襞に隠れたドラ... 続きを読む
Published on 2007/1/21 by philosophia

4.0 out of 5 stars 陸奥宗光とその時代について
陸奥宗光がいなければ、独立国家としての今の日本は無かったかも。... 続きを読む
Published on 2004/3/2 by オノやん

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