何が凄い、て野村萬斎が凄い。
狂言で鍛えられた美しい所作は立っているだけで人を惹き付ける。
舞を舞っているかのように動く野村萬斎の阿部清明はそれだけで見る者に呪をかけているかのようです。
頭に直接響くような呪文、涼しい表情、舞っているかのような殺陣。
その対極に位置するのが悪役真田広之。
野村萬斎が静とするならば、真田広之演じる道尊はまさしく動。
呪文を唱える時、呪をかける時、戦いの時、その全てが荒々しく感情的で男性的です。
この二人の殺陣はまさしく静と動のぶつかり合いで、目を見張るものがあります。
道尊は全てにおいて荒々しいのですが、そこには品があり、美しい。これが他の俳優ならばこうはいかなかったのではないか、と思います。日舞とJACで鍛えた真田広之が演じたからこそ、野村萬斎に匹敵する美しさが醸し出されたのでしょう。
そして主役の野村萬斎。
特別男前というわけではなく、伊藤英明の方が男前なのは間違いないのですが、とにかく美しいのです。
所作、声、雰囲気、美しさというものはこういったものを全て含めて感じるものなのだと実感してしまいました。
日本を代表する狂言師と日本を代表するJAC出身の俳優の対決は必見です。
他、撮影の裏側が見れてけっこう面白いです。殺陣の練習をする野村萬斎と真田広之がふざけて遊ぶ場面や、ワイヤーアクション用の装置を見上げつつ顔をひきつらせる萬斎、伊藤英明と語り合う萬斎、一人での撮影が多い中孤軍奮闘する真田広之などなど、けっこう面白い付録になっています。