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本文は、確かに既に出版されていますが、絵と文の相性はあいかわらずに「眼の悦楽」を堪能させてくれます。村上さんの墨色の背景が、夢枕さんの妖物の世界の、人の心の闇の世界とぴったりなのですね。その闇のなかにほんのりと浮かぶ月明かりとか、人のぬくもりのあかるさ、とか冷たくてほのあたたかい、と言ったらいいのか、そんな世界が広がります。鬼になった姫の色っぽいこと、お尻の可愛いこと、夢枕さんのあとがきのとおりでした。「取りて俺を食え。わが肉を喰らえ」と姫に囁く博雅、「わかっています。わかっていても人は鬼になるのでございますよ」と言う姫の言葉には、何度読んでも眼がうるうるしてしまいます。個人的好みとしては、絵は余白で仕切られていない「首」の方の感じがすきで、お話は絵本オリジナルの「瘤取り晴明」がおおらかで好きですけれども、やっぱり手元において時々ひたってみたい世界です。
同じ題材の舞踊劇(6月23日より講演)の舞台脚本も収録されていますが、一冊で二作分楽しめておいしいか、と思いきや、ニ作文の味が舌の上で混じって足を引っ張り合ってしまったような気がしています。舞踊劇は別にして、これはこれで「写真物語」にでもしてほしいところでした。で、星は辛めに3つ。
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