本書は、夢枕獏の公式ホームページ上で連載されたものである。あとがきにもあるように、本書は小説というより、絵本として作られた。村上は、夢枕の「陰陽師」シリーズの装画をずっと担当してきた。夢枕は以前から村上と「本文と絵が等分に入った物語」をやりたいと思っていたという。
民話「コブ取り爺さん」を下敷きにしたストーリーには、いつもの陰陽師シリーズにあるオドロオドロしさはない。むしろひょうひょうとした温かみのある雰囲気に包まれている。それは、ここに収められた村上の40点以上にもおよぶカラー絵によるところが大きい。彼が描く物の怪たちは、どれもひょうきんでかわいらしい。安部晴明や源博雅も、たちまちユーモラスなおじさんになってしまう。
さらに、通常の単行本よりは薄く小さい本のサイズや、表紙の手触りが和紙のそれに似て、いつもと違う雰囲気を肌で感じることができる。(文月 達) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
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いいですねぇ。ほんのりとした、昔話を読んでいるみたいでした。
また、挿画が話の雰囲気と大変マッチしていて、盛り上げてくれてます。
話の内容も、文章も、挿画も、出てくる物の怪達も、晴明と博優も、どこか、ずっと遠い昔に聞いた話を読むような、郷愁を誘うような。
大人のための昔話です。
獏さんの「陰陽師」シリーズのカバーを描いている村上豊さんの絵の、おどろおどろのなかに滑稽味のある雰囲気が獏さんの文となんとも調和してよい雰囲気になりました。文と絵のバランス、がよいのですね。文の間に、情景の想像を膨らませる小さな絵が入る。時間の経過を表すような見開きの、たとえば夜明けの空のような絵が、文章の作った時間の流れを少し変える効果を出す。そして、これは「なに重ね」というのでしょう、表紙の裏に重ねられた色も、一冊を素敵にまとめています。この色だけみていても和みます。版の大きささえ、大仰に大きすぎず、絵が小さくて物足りなくもならず、と考慮されいるようです。一冊の本として、よく完成している本です。「本」を楽しむことができる本、というのもよいものですね。
このまま、絵巻物につくってみせて欲しい、とも思います。読者のわがままですが、実現したら嬉しい。置き場所に困るでしょうけれど。
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