「旨い酒」というものは、何の抵抗もなく、身体に染み入るように「するする」と飲める。しかも悪酔いしない。
「陰陽師シリーズ」は、とびきり「旨い酒」だ。
未読の方に、はっきり申し上げよう。ワンパターンである。
物の怪(もののけ)や怪異の類がでるものの、激しいストーリーは望むべくもない。読んでいる途中で「ははん・・・。もしやすると此れは、ひょっとしてあれでは」と正体(?)が見えてしまうものもある。しかし、それで話のおもしろみが半減するということはない。「旨い酒」とはいつも同じ味であり、そしていつのんでも旨いのだ。
あいかわらずの「清明」と「博雅」の二人が良い。ゆるゆると酒をのみ、花を愛で、楽を奏で、月を見上げ、そして例の「会話」と共に出かけていき、「呪」を解き(或いは掛け)、家に戻り、またゆるゆると酒をのむ。よいではないか。こういう「はなし」があっても。
「陰陽師」という酒、まだまだ旨くなりそうだ。