アニメ化もされた筆者の代表作の(本編)最終刊。
現代ラブコメものの終わり方は大きく二つあって、きちんと結ばれるために今までの要素をそぎ落とす(他の子を振るとか、物語のシリアス面を出す)方法と、現状のまま「一番いい時間」を固定してしまう方法の二種類が選べる。
阿智太郎に前者はほぼないので後者で終わるわけだが、単に「何もありませんでした」というわけではない所がミソ。
ヒロインとヒーローの立場を入れ替えることで、ゆるキャラであるヒロインの気持ちをハッキリさせるという手法はなかなかに気の利いたもので、そこで主役も改めて作品の貫通動機をハッキリさせるという絵面は、実際にはシリーズの再確認でしかないのに自然に読むことが出来る。落し所も平凡すぎるほど平凡だが、その後の変化の予感も感じさせる良いエピローグだと思う。
最後になるが、このシリーズは筆者は当然ながら、挿絵の力も非常に大きいシリーズだったと思う。愛らしい絵柄とキャラクターの一体感が「ゆるいヒロイン」という難しい設定をストレスなく十二巻も読ませた原動力の一つだと思う。幸運な出会いだったのではないだろうか。