著者の別の本にて度々「精神の政治学」という言葉が
目に付いていたが、一度そういうものを
まとめて本に出してくれないかなと思っていた矢先に
「しあわせ論」がでたので大変嬉しく思い購入した。
予想通りの面白さで、そこら辺の安っぽい幸福論とは一線ニ線も画している。
著者は「仕合せ」について語ると同時に峻厳に、現実の絶望にも鋭く論評しており安易な仕合せを求めているかたは購入されないほうがよい。ということはこれを読むともう世論の流行と
は違う少数派の仕合せを求めなければならないという、別種の葛藤が生まれるのである。
流行には遅ればせについていく、ということしかないのだろうが、
ともかく著者は老年にはいるにつけ成熟度と平衡感覚を極限にまで
高め深めていることが、改めて確認される文体、いうなれば
「徳ある言葉」のオンパレードが繰り広げられている、珠玉の傑作である。
それだけに、凄まじい数の、誤字誤植の多さが残念で仕方がない。