イラン侵攻から世界は神々の代理戦争で溢れ返っている。我が八百万の神は未だ蠢動を続ける程度に抑えてはいるが・・・。インドネシアを題材にしたこの小説ではプロテンスタントとイスラムという切り口で、本来なら助け合いをすべき隣人同士が歴史の歯車が少し噛み合わなかった為だけに敵対し合う、何ともいたたまれないお話でありました。
東西冷戦の主役は政府筋のスパイでしたが、これからの現代史100年間位は、隣人同士のいがみ合いが続きそうですネ。何とも嫌な気分ですよ。
不思議なのが、「小説なのに小説としてのカタルシスが少ない」という事です。登場人物は勿論、本作内でセリフを喋るのですが、それが小説としてのセリフに全く思えない所に起因していると考えられます。イスラムの神を称える有名なセリフや聖書の引用、肉親を屠られた者の慟哭、そう言った、現在の日本では到底無関係だと思えるセリフ一つ一つに真実味がありすぎて、怖くなります。
劇中で語られるバリ島のディスコ爆破の件も、この小説を読めば、さもありなん、と思う事でしょう・・・。