「陋巷に在り」の最終巻です。魯の巻では主に,(1)小正卯との決着,(2)媚女集団との対決,(3)孔子・顔回らの魯の出国という内容で構成されています。
私が思うところ「陋巷に在り」の特徴・魅力は,(1)礼がまだ魔術であったころの「礼」が描かれていること,(2)聖人としての孔子ではなく思い惑いもする人間としての孔子が顔回を通して描かれていること,(3)物語に登場するどの女性もがとても魅力的であること(酒見作品すべてにいえることですが)だと思われますが,この魯の巻にはこれらの要素がバランスよくまとまっています。
しかしながら,前巻までが激しい展開だったためか,魯の巻では前巻までと比較して淡々とした描かれ方をしているように思われました。話の流れとしては矛盾なく記述されているのですが,読み手の感情を高めていって一気に読ませる,という巻ではないようです。
また最終巻であるのですが,結末も顔回の夭折まで書かれておらず,'、との関係もあいまいなままで,「あれ,これで終わり??」という感じの結末でした。
ただ,作者が「あとがき」で今後,続編(おそらく別タイトル)を執筆されることを示唆しているので,続編へのプロローグとして魯の巻をみれば納得いくように思えます。続編が執筆されることに期待!