中国の儒学者孔子の弟子に、顔回という青年がいた。孔子をして「一を聞いて十を知る」と言わしめた好学の士である顔回は、父である酒飲みの顔路と共に、貧民窟と言っても過言ではない市民街“陋巷”に住み、近所に住む少女・からは、想いを寄せられながらも、“かまわれている”ほどの頼りなさだが、孔子の故郷でもある儒者として名高い顔一族の、若いホープでもある儒者だった。
孔子よりは、この顔回を主人公としているこの作品では、酒見賢一作品らしく、雑学が山ほど盛り込まれており、それだけでも充分に楽しめる。
全十巻で完了するのかと思いきや、既に十二巻。主人公である顔回は若くして死んだ筈なので、一体どこまで続けて行くのだろう、と思っていたら、この次の巻で終了すると言う。第一巻が刊行されてから既に十年以上の時が流れ、ほぼ年に一冊の割で続巻を出版している計算だが、大団円が近づき、今作でも総決算的な雰囲気が漂っている。