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陋巷に在り〈1〉儒の巻 (新潮文庫)
 
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陋巷に在り〈1〉儒の巻 (新潮文庫) [文庫]

酒見 賢一
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

聡明で強い呪術の能力を持ちながら、出世の野心なく、貧しい人々の住む陋巷に住み続けた顔回。孔子の最愛の弟子である彼は師に迫る様々な魑魅魍魎や政敵と戦うサイコ・ソルジャーだった…息づまる呪術の暗闘、政敵陽虎との闘争、影で孔子を護る巫儒の一族。論語に語られた逸話や人物を操りつつ、大胆な発想で謎に包まれた孔子の生涯を描く壮大な歴史長編、第一部。

登録情報

  • 文庫: 350ページ
  • 出版社: 新潮社 (1996/03)
  • ISBN-10: 4101281130
  • ISBN-13: 978-4101281131
  • 発売日: 1996/03
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 341,497位 (本のベストセラーを見る)
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12 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By TaroTaro トップ500レビュアー
形式:文庫
中国古代史にまったく興味がなかったので、この作品が‘90年に小説新潮で連載され始めた時、この雑誌の定期購読者にもかかわらず読まなかった。そして、長い年月を経過した’06年の1月、古本屋で文庫本の第1巻をなんとなく手に取ってみた。本の裏にある作品紹介の欄に[サイコ・ソルジャー]という単語が書いてある。超能力もの?にもあまり興味がないので本棚にまた戻した。そして、隣にあった著者の処女作「後宮小説」をなんとなく買った。これが圧倒的に面白い。

 第1巻を買ってみた。聞いたことのない人物がたくさん出てくるし、孔子のことも全くといっていい程知らない、儒教といっても礼を重んじる考えといった程度のことしか解らない私にとって、最初はピンとこなかった。それでも読み進んでいくとページを閉じることが出来なくなった。儒教の礼を闘いの力とする発想が凄い。しかも無理やりでない。1ヶ月半をかけて全13巻を読み終えた。結末もよかった。

 著者はあとがきで、「どんなものを書こうが、この心(思い邪無し=嘘であっても邪であってはならないという心)なかりせば小説家はたんなる語り者、何が言いたいんだかよく分からん文学屋に堕してしまうのではなかろうか」「…読書人たるもの、最低でも論語と史記には目を通しておいた方がよいと思う。最古の文章、小説、基本中の基本であるからだ」「『知』に関しては小説家なぞをたよりにすべきではない」と記している。

 これは、論語と史記を読んで知識を得てからこの作品を読めということなのか、それとも、これらの作品も著者に言わせれば小説なのであり、『知』を得るために読むものではなく、自身の小説と同じく楽しむために読めばよいということなのだろうか。

 とにかく、中国古代史を知らなくても面白い、史実を題材とした壮大な“小説”である。 
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
少々の覚悟を以って読み始められたし。

何しろ13巻もある。その上、第1巻「儒」の巻はかなり手こずる。ルビがなければ到底読めない恐ろしく画数の多い漢字が続出する。「あれなんて読むんだっけ」などと読み返したりして、一向に読み進めなかったりする。

中国古代史・春秋時代が舞台で、そのあたりの時代、政治、文化背景の記述も多いので、読んだ端からすっぽ抜けるようなオツムだと苦労のあまり投げ出したくもなる。

「陋巷」とは巷・ちまただが、きれいなおねえさんやお兄さんが出没するネオンまたたく酔街のことでは無論なく、いえばドヤ街。それもふんぷんたる生活臭に満ち満ちた「貧民窟」のことだ。かの孔子の1番弟子顔子淵・顔回がしばしば口にした「我、陋巷に在り」が表題といえば、わずかでも物語の模様がわかるだろうか。

第1巻も半ばを過ぎたあたりから、読み進むスピードが徐々に増し、5巻、6巻と読み進めて気がつけば寝食も忘れて没頭する。
様々なことに境目が曖昧模糊として、歴史と神話、学、宗、呪も混沌にある時代の空気を知らず文面から吸い込んで、漢字など読めなかろうが、時代背景が頭に残らなかろうが、そんなことはどうでもよくなり、あたかも憑きものでもついたかのように読み耽ることになる。それこそ筆者の「媚」術に落ちて、というところ。

何かに感応するということは、それ以前とは違った何かを内に蓄えることに他ならないとすれば、本作に触れることによって人は確かに変わる。作中で筆者が「書き続けるうちに自らの作品から教えられ、学び取るものは大きい」と言うがごとく、読み手もまた多くを得るのだ。

「『儒』とはそもそもすなわち礼、なかでも『喪礼』を正しく行うことであった。それを段どる特殊な集団を、霊・神と人とのインターフェーサー・『儒者』といった」
来歴を知り、あるいは春秋時代の時代背景に触れると、社会科の教科書に記載されている範囲でしか「儒教」について知らなければ、それは驚嘆する。
そういった知識・情報の獲得は言うに及ばず、作品に通低し横たわる「善きもの」「尊きもの」「崇めるべきもの」に内在する同質の「鼓」が同調して鳴るのである。

人は母の胎内で原始から遡りきて人として生まれるということが象徴するように、歴史と神話が混沌としていたころから悠久の時の流れの中で祈りとともに連綿とつなぎ続けられた命のその先端に今ある自己存在をはっきりと識る。魂の故郷として「古代」を感じる。
人が時の果てに失ってしまった科学を超えた力が読み手の中に蘇ろうとするのだ。

読み始めた時は「13巻もあるのかよ?!」だったのが、読み終えると「まだ続いてもいいんじゃない?!」と必ず続編を期待してしまう。歴史小説に浸った者の宿命でもあろうが、そうばかりでもない。太古に生きた神々が再現しようと働くに違いない。

いや、マジ、続きが読みたい。
「陋巷を出てしまっては『陋巷に在り』ではなくなってしまう」などと言わずに、「旅」の巻、「別」の巻、「帰」の巻、せめてそのあたりまで…

確かにこの「媚」が解けるのには時間がかかりそうである。
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カスタマー
形式:文庫
誰もが学校で孔子の「論語」を少しはかじった事と思いますが、何か分別臭いことをいう人だという印象しかなかったのでしょうか。親孝行とか、君子とか。でも、漢文の時間に習った論語の一節で、孔子が弟子が亡くなった時に詠んだ詩のようなものがあり、弟子が亡くなったくらいでこんなに嘆くなんて、人情に厚い人だと思いました。主人公は、その弟子の顔回です。クールでちょっとぼーっとしていて、不思議な能力があります。孔子の過去につながる顔回。少しずつ明かされる孔子の生涯、論語に至った経緯。そして、どうして孔子が激しく顔回の死を悲しんだのか。古代中国史に興味のない人もきっとはまります!
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