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22 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
自己矛盾の告白,
By JB - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 阿部一族・舞姫 (新潮文庫) (文庫)
多くの人が内包している自己矛盾を正面から正視し、それを克服した数少ない人間の代表的人物として森鴎外がいる。鴎外は代々続く津和野藩の御典医の家系の嫡子として生まれ、維新から明治への激変の時代の中、森家の浮沈はただ鴎外の双肩にかかっていた。森家の総領として、明治という新しい社会の中で立身出世に向かって邁進しなければならない事は鴎外にとって宿命であったろう。 鴎外は子供時代から神童といわれるほどに学問ができたが、一方で花を摘んで遊ぶことが好きというような繊細さ、ロマンチシズムを持っていた。 宿命づけられた立身出世と内面のロマンチシズムの葛藤こそが鴎外の人生であったのではないか。その葛藤を陸軍軍医総監としての森林太郎、かつまた、たぐいまれなる作家としての森鴎外となりおおせたことにより、見事両立したのであった。 鴎外はある意味で2足のわらじを履いた人と見られ、このことが作品のすばらしさに比して一般的な人気の低さとなって現れている。しかし鴎外の成し遂げたことは超人的な偉業であることを認識すべきである。自己矛盾に押しつぶされることなく、強固な意志力で生きぬく手本を鴎外は示している。 作家としても人生そのものも鴎外とは対極をなすような太宰治は漱石、藤村、志賀直哉等ほとんどの諸先輩に懐疑的であったが、鴎外を敬愛し、生前の自身の希望で鴎外と同じ禅林寺の鴎外の向かいに墓所がある。太宰は鴎外の本質を見抜いていて、二足のわらじを履いた人などという卑俗な見方をしていなかったのだろう。
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
文語作品のほうが内容的には面白い。,
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レビュー対象商品: 阿部一族・舞姫 (新潮文庫) (文庫)
収録作品は、『舞姫』 『うたかたの記』 『鶏』 『かのように』 『阿部一族』 『堺事件』 『余興』 『じいさんばあさん』 『寒山拾得』 (『附寒山拾得縁起』) である。 最初に収録されている二作品が文語作品、残りは口語作品である。 やはり『舞姫』が内容的に最も面白い。エリスの可愛さは不朽となるだろう。 注目して欲しいのはエリスの仕草である。描写は事細かであり、なんとも言えず可愛らしい。 最後二頁を読み終えたときには、自然とため息が漏れることだろう。 その次が『うたかたの記』であろうか。 エリスとは一味も二味も違うマリイの姿を是非、凝視して頂きたい。 もう一言付け加えるなら、台詞が凄まじく格好良いのである。 どちらの話も起承転結がガッチリした、スピード感溢れる物語である。 文語ゆえの取っ付きにくさはどうしても否めないのだが、それでも未読の方には是非読んで頂きたい。 現代語訳から読んでみるとか、漫画化作品に手をつけてから原文を読むとか、手はある筈だ。
10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
小倉左遷時代の森林太郎のパートナーは、鶏!?,
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レビュー対象商品: 阿部一族・舞姫 (新潮文庫) (文庫)
明治の大文豪、森鴎外の短編集『阿部一族・舞姫』です。発表年代順に作品が収められているので、『舞姫』『うたかたの記』が最初に来ています。この二作が非常に読みにくいので、『鶏』あたりから読み始めて、最後の『寒山拾得』まで読んで鴎外ワールドにハマってから最初に戻る、というのも一つの方法だと思います。 『鶏』は小倉左遷時代の鴎外の暮らしぶりそのまんま、って感じです。大文豪、かなりユニークな人物であったことが垣間見えます。 『阿部一族』『堺事件』などは歴史小説です。かなり凄惨な事件であっても、淡々とした筆致で描き出しています。今日の歴史小説と比べると、エンターテインメントとしての完成度では洗練されていない感じもします。山場を良く見せる演出に凝るのではなく、歴史をそのまんま書く、というアプローチだからでしょうか。淡々と描いているからこそ、純文学としてのテーマは深いのではないかと思います。『阿部一族』などは、君命や世間体といった大きな力に対して、弱き者はどうすることもできず翻弄されるだけという不条理が痛いくらいです。
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