■57年ぶり国宝「阿修羅」展が東京国立博物館で始まりました。それを機にいくつかの雑誌特集なども出ましたが、この本ほど「阿修羅」像の見方を360度変えてくれた書物はほかにありません。
■あまりにも有名なその「純真なお顔」と「異形の身体」ばかりが、ほめたたえられ、大切なポイントを見逃してきた。すなわち阿修羅という仏像は、「光と花のデザイン」を贅沢に身まとった、華麗で「装飾的な聖像」でもあったことが、本書に教えられ、大げさではなく、おおきな衝撃を受けました。
■たしかに自分の眼でよく見れば、阿修羅像は、輝くネックレス、神秘的なブレスレット、宝相華をちりばめた巻きスカート、現代でもかっこいいサンダル・・を、キュートに身にまとっている!これは筆者の鶴岡真弓氏が言う「光をデザインできる人間の力!」を、真摯に示している芸術でありデザイン力だったことがわかります。
■本書は、現状と復元両方のカラー写真を入り口に、阿修羅のジュリーの発見から始まって、インド、中国西域、イラン、ビザンティン、イタリア・ルネサンス、世紀末のヨーロッパ・・・と、シルクロードを超えたいわばジュエリーロードを、筆者が歩んでいきます。
阿修羅とは、アスラにしてアシュラ太陽神でもあったところに、阿修羅のジュエリーの深さがあったのですね。
■この本は阿修羅像の秘密を、たのしく具体的なイラストと、たくさんのカラー写真で導いてくれている。「まことの阿修羅」大発見の貴重な一書だと思います。ほんとうにお勧めです。