これを真面目な野球ノンフィクションだと思って読んではいけません。著者はスポーツライターではなく、生粋の阪神タイガースファンで知られるエッセイストの山田隆道さんです。色々な野球メディアで名前や顔をちらほら見かける方で、いつも独特のファン目線で野球をユーモアと毒っ気たっぷりに語ってくれます。いわゆるプロ野球ファンの視点に立って、関西人独特の笑えるツッコミを得意にしている方なので、本書も大真面目な阪神タイガースの歴史本というわけでありません。阪神を愛するがゆえに「なんでアンダースローばっかりやねん!?」とか「松永はなにしにきたんや!?」とか「なんでオマリーを出してまうねん!?」などとユーモラスにボヤキ&ツッコミを繰り返し、とにかく笑い転げてしまいます。中でも私のお気に入りは「何事も中途半端な戦闘能力の阪神みたいな選手」とい表現と最終章の「ダメ外国人列伝」の中にあった「阪神はカタログ通販で外国人補強をしているんじゃないか?」というツッコミです。文章が非常にテンポ良く、すらすら読みながら、随所で爆笑してしまいました。これは決して阪神バッシングではありません。阪神を長年愛してきた著者が「阪神がどうしようもないぐらいに弱いこと」にボヤキつつも、心のどこかで「しょうがないやっちゃ!」と馬鹿息子を笑って許しているような愛情が感じられます。とにかく私のような阪神ファンには非常に心に突き刺さる表現が多く、深い共感を覚えました。野球の本で笑ったのは初めてです。