解説は他の方が十二分にされているので、小説好きのダメ親父が読むとどうなったかを。
若い本好きの男性が図書館で好みのタイプの女性と出会い交際に発展する場面で若き日を思い出し、胸をギュッと鷲掴みにされる。女子大生が我侭で暴力ダメ男と別れを決意する場面で、そうだ!そんな男はダメだぞ!と助言したおばあちゃんの後ろでエールを送る。美人OLが5年も付き合ってきた彼氏を「ちゃっかり女」に横取りされ結婚式でささやかな復讐を果たすが自身も傷ついていれば、そんな馬鹿な奴はこっちから願い下げだ!怒りつつ、一方で、そんな間抜けが居るか?とか、その「ちゃっかり女」が自分の娘だったらどうしよう?と思いつつ、自分のささやかな人生の分岐点を振り返る。
各駅毎に与えられたそれぞれのエピソードに喜んだり、おろおろしたり、怒ったりと、作者の術中にどっぷり嵌っている自分がいた。恋愛って良いなーと。
しかし、この作品は軸が有る。それは、義である。正義という程偉そうなものではなく、人が人として生きていくうえでのマナーみたいなものだ。それは実はかなり強力なエネルギーを作中から凛として放出している。このエネルギーは健全でまともな精神を持つ良き人や人生これからの若い人には生きる活力として機能するだろう。人に誇れるような人生を構築したいと思いながら行動が伴っていない私のようなダメ親父には痛みを伴う力となる。貴方は相手に義を尽くしていますか?自分に誇りがもてますか?と。
良薬口に苦し。足つぼで痛いつぼを微笑みながら押してくる整体士のような本だ。しかも、一見やさしそうで器量の良い整体士だから困る。痛い目にあうと知りつつまた行きたくなる。
もし貴方が私のように少し後ろめたい人生を歩んできたダメ親父なら、取り扱いに注意されたし。