日本のCBにおいて高さ、早さ、巧さ、強さの全てを兼ね備えた男松田直樹。
若かりし頃から将来を嘱望され各世代の代表に選ばれ、あの中田らと同じエリートとして常に代表に君臨していた松田。
彼にはプレーに精神的なムラがあり、闘争心が空回る時があった。
それは彼の欠点として常に取り上げられた。
しかしそれは彼自身の魅力でもあった。
己の闘争心のままプレーし、時に完璧に時に脆い守備を見せる未完の大器。
この本には代表レギュラーだったトルシエ時代から控えに甘んじ、ジーコと衝突して代表から疎遠になった頃なども振り返っている。
個人的に松田がジーコに抱いていた不信感や疑問には大きく共感するものもあった。
不条理なまでのポジションの序列性、先発組と控え組に対する扱いの違いからくる選手間の温度差などは必然的なものでもあったと思う。
彼はもう三十を超え選手としてのピークは過ぎた感があるが、彼はそれでも己を高める事を辞めないし、彼から闘争心が消える事もないだろう。
何故なら良きにしろ、悪きにしろその闘争心こそが松田直樹そのものなのだから。