王長徳という知られていない人物にスポットをあて、取材し、文献を調べ、この本を書いたことには敬意を払うし、若いがしっかりした書き手であるとも感じた。
しかし星はひとつ。
冒頭から「この人物はすさまじいぞ」という思わせぶりな記述が並ぶが、結局どういう人物だったのか私にはわからなかった。
本人からじっくり話をきいたというわりには、まったく全体像を提示できていない。
加えて表現が青臭く、読み進めるのが苦しかった。たとえば「後書き」の記述だが、
「ガラスの内側で特殊な専門用語を操り、一部の人間しかわからない特殊な言い回しで人間と社会を論じることの意味が、ガラスを透かした「外側」の現実を前にしていかに“無力”なものかという“青い苦悩”にまどろみながら、私は…」
恥ずかしくなる。
将来性のある書き手であることは間違いないのだろうが、私はおそらくこの著者の本を読むことはもうないだろう。