■「父と呼べ」:
貧しき父・子の父が、盗みを働き島送りなる。残った幼子を、子のない老夫婦が養う。口をきかぬ子が「父(チャン)」と呼ぶようになった途端、母と名乗る女が現われ・・・・
非常に悲しい話である。最後泣けます。
■「闇の梯子」:
似合いの若夫婦が、妻の病が発端で闇に落ちていく・・
藤沢作品には珍しい「結末のない小説」は、非常に悲しい。読み終わった後、かなり暗くなります。覚悟のほどを
■「入墨」:
これは、別の短編集に入っていた作品。人情ものだが最後非常に清清しい。
娘を売った悪い親も、最後は娘二人の為に老いた刀を振るう。気持ちが良いい。
小説の最後はこうでなきゃ!
■ 「相模守は無害」:
藤沢作品の、「市井の人情もの」もいいが、やはり「侍もの」は絶品!
城に忍び入り、寝ている殿の口をふさいで一言。この言葉に拙者痺れた。
「よくも公儀隠密をおなぶりなされた」
実に気持ちが良い!すっきり!!
■「紅の記憶」:
非常に良く出来た作品である。面白い!侍の心に隠した喜・怒・哀・楽が何とも哀しいが心地よい。
長男とは、生まれた時から全てにおいて差別される「武家の次男坊」は、肩身が狭い。夢は美人の独り娘の婿だが話が来たのは・・・。しかし、一旦婿の話しが決まった限りは、婚姻が整わなくとも既に妻と義父。その仇を討つ。200石の婿になり損ねた「剣の立つ次男坊」が暴れる!
武家の家の小さな妹:登和ちゃんと主人公の次兄とのやり取りが非常に面白くほほえましい。また、当時の武家の子としての躾も伺える。ひとり娘との婿の話、敵討ち、次男のやんちゃぶり、長男の狼狽振り等面白み満載!
*前半の2作は暗く悲しいが、残りの3作は痛快である。