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ちなみに作者コンラッドは自由自在にラテン語を英語にしてしまう技を持っていました。
そのため翻訳者をかなり悩ませています。
戦争映画『地獄の黙示録』の元ネタになった小説で、コッポラの映画同様、まったく奇妙で脈絡がなく、ただただ粘りつくような「恐怖」の感覚だけが迫る怪作です。
これはヨーロッパの帝国主義のひとつの寓話として読めます。ヨーロッパ帝国主義が体現していた意義や道徳=現地支配人クルツと読み替えて、その帝国主義の崇高な道徳の使者だったはずのクルツがアフリカの奥地でどのような狂気に侵されていったか。著者のコンラッドは実際に船乗りとしてコンゴへ行ったことがあり、そのとき帝国主義の現実に直面した体験がこの小説を書かせたそうです。また、本書全篇にただようある種の崩壊感は、世紀末の一ヨーロッパ人としてコンラッドが感じた深刻な何かだったのかもしれません。
ま、帝国主義に何らかの道徳だの意義があったと(ご当人らはかなり本気で)信じ込んでいたヨーロッパ人が、そんなものはなかったと気づいたときの自己愛的なショックだ、と言えばそうなんですが。日本も帝国主義の経験があるので、我らが祖先がアジアの植民地支配の現場で何を考えていたか、というのも興味はあります。
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