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最も参考になったカスタマーレビュー
15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
素晴らしいの一言に尽きます!,
By タイセイ "T" (東大阪) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 闇の国々 (ShoPro Books) (単行本)
とにかく「素晴らしい!」の一言に尽きる作品です。本作は、これまで日本で「闇の国」「謎の都市」など様々な邦題で紹介されてきました。アートを担当しているスクイテンも、「シュイッテン」など、日本語表記が様々でしたが、これでようやく安定した名称で多くの方に周知してもらえる様になりますね。 この作品は、フランス本国ではメビウスと同等の評価を得ており、既に12巻が出版され、番外編も絵本やガイドブックなど、これまた12種類もの展開を見せています。本著は本編12巻中の3巻をまとめたもので、処女作からの発表順ではないのですが、その素晴らしさを伝えるに十分な内容があります。 装丁はハードカバーで400ページもあり、事典かと見まごうばかりの厚さがあります。それぞれのストーリーは独立していて、それぞれ大変読みやすく、一気に読めてしまいます。あっという間にその世界観に引き込まれてしまいます。そこに描かれる不条理な世界は、写真や絵物語や彩色画を効果的に使用して、まるでカフカの様でありながらも、小説では描ききれない「絵」の必然性を痛感させる物語になっています。 これまで日本では、スクイテンのアートを取り沙汰して高く評価されていましたが、今回の邦訳を読んで、ブノワ・ペータースのストーリーにスクイテンのアートがあって初めて成立する素晴らしい作品であった事が初めて判りました。私もこれまでアートの素晴らしさは知っていましたが、フランス語が読めない敷居の高さがこの作品を遠ざけていましたので、今回の邦訳は感涙ものです。 昔の銅版画に見られる様な緻密な描線によって描かれる不条理な日常は、メビウスのアートとは一線を画すものだと思います。その絵は 最早芸術作品の域に達しています。 読後感は、上質な小説を読んだ時と変わりません。それは素晴らしいストーリーによるものです。男がいつまでも後悔やこだわりに縛られ続けているのに対して、女性達のたくましいことといったら…。そう感じるのは、本作がしっかりと人間像を描いているという事だと思います。 この作品が今世紀に存在しているのは、貴重な芸術的・文学的遺産だと感じる程です。是非この素晴らしい作品を多くの方に読んでもらって、いつか他のストーリーの邦訳が出版される事を願って止みません。
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