ザンドラマスの足跡を追ってメルセネに向かったガリオン達一行は、メルセネ大学で偏屈な錬金術師の元にあるアシャバの神託の写しを目にすることになる。しかし、そこにはトラクからの驚くべきメッセージが記されていた。メッセージのショックを抱きつつも一行は再びマロリー皇帝ザカーズの軍に捕獲されてしまう。だが、その一方で”新たな声”の存在が仄めかされ、一行に新たなメンバーが加わることになる。
本編の展開はシリアスで重いが、それでもユーモアを失わないのがエディングスの流儀である。特にちょっとした脇役達もキャラが立ち、脇役達とのやり取りによってさらにレギュラー陣のキャラクターが引き立つというのはもはや感心するしかない。錬金術師センジとベルガラスやベルディン、オトラス大公の奥方とベルディン、そして本書の中での屈指の名場面が高僧アガチャクとタール王ナセルのやり取りであろう。ある種の衝動を抑えつつ必死でナセルを説得するアガチャクの姿は必見である。それ以外にも、ケルダー王子ことシルクの凄腕振り、ダーニクの意外な一面などレギュラー陣の様々な表情がそれぞれの地域と共に楽しめる。まさに出来の良い長編ならではの楽しみがここにある。
このシリーズも残すところあと一冊。来月の完結が楽しみでならない。