「耽美」と思う。
「骨であるわたし」を「わたし」が語る。
その「わたし」は、自分がここでこのようになってこうしているのだと訴える。
少年趣味の大地主に愛される「わたし」
フニスと恋に落ちる「わたし」
アウラと結ばれながらも研究にうつつを抜かす「わたし」
皇帝とのかかわりの中で理不尽に運命を共にする「わたし」
そして思考する骨となった「わたし」
愛する者たちとの再会を果たし、昇華していく「骨であるわたし」
どの「わたし」も・・・耽美・・・と思う。
美しいだけではないが、
何を描いても、ドロドロとはならないのはこの著者の持ち味。
人間の強さと弱さ、善と悪、
どちらも裏返しであったり仮面であったりする。
それらを左右するのはいつも愛。
しかし人間の弱さこそが時代を動かし、
運命を左右するのだとこの小説を読んで思う。
題名の美しさと、装丁の神秘に導かれて読み始め
端整で無駄のない文章世界に、いつか引き込まれ
そして「骨であるわたし」の昇華とともにこの物語を閉じる。
「わたし」はもう「わたし」について語る必要もないのだ。