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この本の主人公は、盛りを過ぎた中年女性の於以登。彼女はなぜ関所抜けをしなくちゃならなくなったか?、なんと彼女は日本各地を見物したかったんですね。いまでいう観光旅行をしたかったのだ! 旅は約3か月に渡る長期旅行! しかも正規のルートではない、関所を抜けて行くコースを選び、旅は始まるのだ。いまだってそんなコトを考え、行動に出る中年のオバさん、いや、若者(オジさんは論外)は少ないのではないか? パスポートを持たず、アブない国にふらりと出かけていくようなモンである。当然のことながら江戸時代、飛行機やら新幹線はないわけだから、ひたすら歩く、馬に乗る、篭を頼む、川止めに遭う、雪道で難儀するなど大変で、その行程は読んでいて、いまとは異なる苦労がしのばれ、興味深い。関所の存在がいかに女性の行動範囲をせばめていたか、そのシステムが詳細に記されている。
作者は、於以登たちが記した「諸用記」から、旅の道中、何にいくら使ったかを追いながら、旅の全容を明らかにしていく。於以登は、この「諸用記」に、旅の道中、何を感じたかはほとんど記していない。なぜ旅に出ようと思ったのかも書いていない。私には、最初はそれが不満であったのだけれど、読み進むにつれて安易な「物語」を求めていたと気づいた。「感動」したがっている私をふと我に返らせ、江戸時代旅そのものを見るように仕向けてくれたこの本。旅の終わりのシーンは、ちょっとジーンときちゃった。
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