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関係する女 所有する男 (講談社現代新書)
 
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関係する女 所有する男 (講談社現代新書) [新書]

斎藤 環
5つ星のうち 2.7  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

男女の違いという大テーマに斎藤環が挑む!
男と女はどう違うのか?「性差」とは一体なんなのか?人気の精神科医が、社会にはびこるトンデモ仮説を排し、この大テーマをさまざまな角度から分析する。

内容(「BOOK」データベースより)

男女の違いとは何か?どうして男女論にはトンデモ説が多いのか?難問を精神科医が明快に論じる。

登録情報

  • 新書: 256ページ
  • 出版社: 講談社 (2009/9/17)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062880083
  • ISBN-13: 978-4062880084
  • 発売日: 2009/9/17
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 2.7  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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23 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
ジェンダーを精神分析理論に依拠しつつ論じる、という筆者のスタンスはなかなか興味深い。

精神分析というと、ジェンダー論者からは「ファロセントリズム=男性中心主義の権化」として批判の槍玉にあげられ、まるで犬猿の仲である。が、そもそも「セクシュアリティ」という問題をはじめて論じたのは精神分析ではなかっただろうか。性差というものを脳の生理学的差異やホルモンの分泌特性といった生物学的特徴に依拠することなく定義したのは、他ならぬ精神分析の功績だろう。

実際のところ、精神分析とジェンダー論は「仲の悪い親子」みたいなものだ。
批判するにせよ依拠するにせよ、精神分析抜きのジェンダー論というのはありえないと思われる。

男女の性差(この用語は「ジェンダー」の訳語としては誤訳らしい。ジェンダーとは「性のありよう」のことで、「性の差異」ではない)を「科学的に」論じた本を一様に「トンデモ本」と切って捨ててる第一章は、正直筆者のイデオロギー臭を感じた。が、「所有」と「関係」というキーワードで男女のジェンダー=性のありようを論じた後半部は参考になった。

男は「所有」、女は「関係」のスタンスで存在するというのが本書の基本主張である。男は厳として確立された(=ファリックに屹立する)主体として、この世のさまざまな対象(能力・地位・女・金銭などなど)を所有・支配しようとする。いっぽう、女は自分の主体性を放棄して(=女は存在しない)他者にすべてを委ねる、つまり他者と関係しようとする(いわゆる「腐女子」が、女性が登場せず男性の同性愛だけが描かれる物語、いわゆる「BL」を享楽できるのもここに理由があるという)。このような両者が出会ったとしても、結局は互いにすれ違う以外にないのである(=性関係は存在しない)。

なかなか興味深い意見なのだが、それにしても「所有」と「関係」という用語はやや曖昧ではないだろうか?たとえば、「ある関係を所有する」とか、「所有を通じて関係する」といった状況を考えることもできてしまうのではないか。おそらくラカン理論における「ファルス的享楽」を「所有」と、「他者の享楽」を「関係」と噛み砕いたのだろうが、少々理論の厳密さに疑問が残る。
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39 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
問題に感じたのは二点、一つは性差の神経科学批判。「性差は脳だけに還元できない」と言う指摘は正しい。だが脳の性差を論じる人がみな「脳だけ」で説明しているのではないし、では著者が包括的な説明をするのかといえば精神分析家として「生物学から距離をとる」と宣言し社会文化的要因”だけ”から性差を説明しようとしている。

進化心理学批判はさらにずさんだ。進化心理学の仮説は他の心理学と同様、アンケート、実験、fMRIなどで検証される。後付けの説明だけではないのは一本でも論文を読めば明らかなはずだが。進化的適応と心理学の適応を区別できていないし、死への願望を説明するために「種の保存」を持ち出していることを見れば、進化学の初歩も進化心理学についても全く理解していないのは確実だ。

また男女の生物学的性差を論じることと差別や不平等を是認することは別だが、著者はむしろ積極的に混同しているように思える。これを読んだ読者は性差の生物学的研究はどれもいかがわしく、不正な目的を含んでいると誤解するのではないだろうか?

手厳しく「トンデモ」を批判したあと著者の社会分析がはじまる。その中には妥当な説明だと感じるものもあり、こじつけめいているものもある。そこで私には大きな疑問がある。著者は自身の説明を検証しているのだろうか?検証可能な仮設として提案したり、あるいは検証が必要だと考えたことはあるのだろうか?他分野の研究(ずさんなものもあれば真摯なものもある)を劇画化して批判し読者に誤った印象を与え、そのあとで幾分穏当な「説明」を行うのは議論として誠実と言えるのかだろうか。
このレビューは参考になりましたか?
38 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 倒錯委員長 トップ500レビュアー
形式:新書
精神科医でありながら、サブカルチャー方面にも明るく著書も多数ある斎藤環。『バックラッシュ! 』などの寄稿はあるが、本書は意外や意外、著者初の男女論(ジェンダー論)とのこと。帯には本書の論じる二つの主題が大まかに列挙されている。ひとつは「男女の違いは何か?」、もう一方は「どうして男女論にはトンデモ説が多いのか?」。個人的には二つ目が大いに気になるところ。

本書の構成を紹介しておこう。まず一章と二章では、ジェンダー論とその困難を論じ、さらに男女論の「トンデモ説」の実例の数々にメスを入れる。そして三章からは「男女の違いとは何か?」に対する著者の持論が展開されていく。

ただ、ジェンダーの「トンデモ説批判」が続く前半一、二章に関して言えば、どうもアンフェアという印象が残った。もじゃもじゃ頭の脳科学おじさんなどの理系分野の著作に僕は明るくないので他の評者にゆずるが、例えば内田樹批判の箇所は、わら人形論法というやつだ。著者は『バックラッシュ』の寄稿文以来、仏文学者の内田樹の身体論を批判している。内田の女性論と身体論は限りなく本質主義に近く、危うさが残るのは確かであるが、内田の「フェミ批判」が「本質には全然届いていない」(37p)というのは、斎藤らしからぬミスだろう。というのも内田は、つい数年前に出した『女は何を欲望するか?』(後に新書化)の中で、がっぷり四つに堂々とフェミニズムを論じているからだ。それをたかがブログの一記事をとりあげて、あたかも内田がそれだけしかフェミニズムを論じていないように表現するところが、誠実な筆致だと思っていた斎藤の読者としては残念きわまりない。

さらに、精神分析に依拠すら著者の持論、男の「所有原理」と女の「関係原理」。詳しくは本書を開いてみてほしいが、前半部での鋭い他者批判(多少のチョンボあり)から読み勧めている読者は、目を疑うだろう。というのも、ジェンダー・センシティブを主張する著者でありながら、そこではおもっきり所有/関係という二元論を持ち出しているからだ。最終盤の方で著者はたしかにそのことを言い訳程度に書き添えてはいるが、ではなぜタイトルが「関係する女 所有する男」なのか。さらにいえば、本文中ではもう数えられないほど男を所有、女を関係と、なかば決定論的(例えばおたく、腐女子など)に論じていることはどう説明をつけるのだろう。

カール・ポパーの言う「反証可能性」を出されると、精神分析というのはきわめて分が悪い。この本を読んでいるうちに気がついたが、精神分析に依拠する著者って、絶対に自分が過去に出した説を曲げないよなぁ…。
たしかに、著者は『バックラッシュ』にて精神分析が「「予測」を旨とする科学的因果性とは手を切っている」としている。これは、精神分析を学ぶ僕自身も答えに窮する所だが、では著者が批判する「似非科学」と精神分析という「非・科学」、いったい何が違うのか、今のところはわからない。

ちなみに参考文献にはなかったが、以前読んだダリアン・リーダーのWhy Do Women Write More Letters Than They Post?もラカン派で、これと似た興味深い仕事をしている。
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