桐野作人氏の『関ヶ原 島津退き口-敵中突破三○○里』(学研新書/790円+税)をページをめくるごとに感嘆しながら読んだ。
薩摩のつわものたちの剽悍決死のますらおぶりはもちろんだけれど、島津とほかの大名たちとの関係、さらには島津内部の力学までも細緻に解き明かしている著作である。
帯には「空前絶後の撤退行」とあるが、この本自体が関ヶ原をテーマにしたものとして「空前絶後」といっていい。
義弘公は光も影もある、しかしあきらかに当代随一の武将。この人物の周りにいかに魅力あるキャラクターが蝟集し戦い散って行ったかを思う時、その真中にあった星の輝きを思うのである。戦国薩摩及び薩摩隼人を活写し得てあまりある好著である。