ソフトウェアアーキテクチャ、あるいは、アプリケーションアーキテクチャに関心がある人には、ぜひ、オススメしたい、アーキテクト向けの「読み物」です。
(いわゆる「技術書」とは思わないほうがよいと思います)
ソフトウェアアーキテクチャをテーマにした、架空のセミナーを本で再現したスタイルです。
アーキテクチャのさまざまな論点が、架空の登場人物たちとのやりとりをまじえながら、展開されます。
・コンピュータとアーキテクチャの歴史
・アーキテクチャの概要と、開発プロセスでの位置づけや意味
・非機能要件の整理とアーキテクチャへの反映
・ビジネスロジック(人間の仕事のやり方)の表現のアーキテクチャ
・アーキテクチャの形式的な分析手法と評価手法
などが、架空(荒唐無稽?)の登場人物たち、
・宇宙人( マ○○ン・ファ○ラー?)
・SE( SIer の典型的なエンジニア?)
・シニアマネージャ(大手SIerの典型的な管理職?)
・アジャイル教の教祖様 ( ○○さん?)
・IT雑誌の記者( ITバズワードのふりまき屋さん?)
・新人くん(業界のしきたりとかまだわかっていない、迷える子羊?)
と、講師(著者)の間で、かなり乱暴な会話がかわされます。
それぞれの登場人物を、おもしろおかしくデフォルメしてある。そのデフォルメぶりが、なかなか楽しめる。
そして、その会話の中で、セミナー講師のアーキテクト(?)が、いろいろ本音を独白する部分が、抜群に面白い。
建前論や形式論ではなく、現場の「できるアーキテクト」の思想や思いが伝わってきます。
この本は、アーキテクチャを勉強するための技術書ではありませんね。(技術的な内容は濃いし、エッセンスは、スライド形式で、うまくまとめられているので、もちろん、勉強に、なります)
この本は、勉強よりも、アーキテクチャに取り組む技術者が、日々の業務の中で、迷いが生じたり、壁にぶつかった時に、
・原点を大切にする
・基本フォームに戻る
そして何よりも
・ふっと、息抜きをして、頭をリフレッシュする
ために、とっても役に立つ本だと思います。
「訳者」の語り口もさることながら、カリフォルニアで隠遁しているという「著者」に、ぜひ、来日してもらって、実際の、セミナー会場で、この本の内容を実演してもらえたら、最高に面白いだろうと思います。