人が幽霊、妖の類を恐れるのは、何をしてくるかわからない、
言葉が通じないからだ、と言った人がいた。
では愛嬌があって言葉も通じて、それなりに分かり合えそうな
妖だったらどうだろうか。
この物語で面白いのは、封印されていた手を元の妖怪が取り返しに来るのは
パターン通りとして、その「手」こと手々丸が戻るのを拒むこと。
つまり、妖怪とは別の意志を持っている手なのである。
手々丸は妖怪のところへ戻らず、主人公青山になついてしまう。
さらにこの青山が底抜けのお人好しで、その精神は命を狙う幽霊や
妖怪にもわけへだてなく発揮される。
いつしか人も妖も彼に惹かれていくのである。
人間と妖の話は数あれど、心温まる作品として推薦したい。
本編をご覧になったあと、表紙カバー下もお見逃しなく。