数年前から、アメリカを中心とする「金融資本主義」、小泉政権の「構造改革路線」、「市場原理主義に基づくグローバル経済化」を批判し続けていた金子さんの新著。
金子さんは日本も含めた世界が好況であった数年前から、上記のような主張を行っていたため、エコノミストや経済評論家の中では、どちらかといえば”異端”視されてきたきらいはあった。しかし、現在のアメリカを中心とするサブプライムローン問題を発端とする金融危機、金融危機がもたらす信用収縮が実体経済に大きなダメージを与えた大不況や日本でも明らかになった格差社会の問題等をもたらした「小泉構造改革路線の欠陥」が、もはや、誰の目にも明らかになった今、金子さんのかねてよりの主張はようやく大きな注目と高い評価を得るに至った。本書は金子さんの考え方を新書でボリューム的にもお手ごろに知ることができる。
かつて、博士号を取得した後、大学での職を求めて、ハローワークに行き「大学での教職を探している」と言ったところ、ハローワークの職員から「冗談でしょう」と馬鹿にされたという苦労の経験を持つ金子さんは社会的弱者に対する視線も常に持ち続けている。
現状の世界や日本の危機的状況を生んだ、「根源的な問いを排除した経済学」の限界を指摘しつつ説いているが、次には、新書のスペースの制約を超えて、現状の問題に対する処方箋や解決策までも含んだ「金子経済学」を書かれることを期待したい。
なお、私見であるが、”現在、起こっている金融危機を2008年に起こると見事に予告”したソロス著の「ソロスは警告する」、”この金融危機はまだ、序奏に過ぎず、現在の金融・経済・社会体制の大変革までに至る”と説く、ラビ・バトラ著「2010年資本主義大爆裂 10の近未来予測」、副島隆彦著「恐慌前夜」、藤原直哉著「2009年世界大恐慌」、船井幸雄著「2009年資本主義大崩壊」も本書と併せて読まれることを是非お薦めしたい。
上記のそれぞれの本についてレビューを書かせていただいたので、ご一読いただければ幸いである。