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門 (新潮文庫)
 
 

門 (新潮文庫) [文庫]

夏目 漱石
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (27件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

横町の奥の崖下にある暗い家で世間に背をむけてひっそりと生きる宗助と御米.「彼らは自業自得で,彼らの未来を塗抹した」が,一度犯した罪はどこまでも追って来る.彼らをおそう「運命の力」が全篇を通じて徹底した〈映像=言語〉で描かれる.『三四郎』『それから』につづく三部作の終篇. (解説 辻 邦生・注 石崎 等) --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

親友への裏切りの負い目から世間に背を向けて暮らす宗助と御米。背徳の罪を犯した苦しみからの救いを求め宗助は禅寺の門をたたくのだが…。 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 231ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1948/11)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4101010064
  • ISBN-13: 978-4101010069
  • 発売日: 1948/11
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 0.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (27件のカスタマーレビュー)
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31 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
『三四郎』『それから』に続く初期三部作の完結編。

人の妻を奪い、その結果いっしょになった一対の夫婦、宗助と御米。それがゆえに世間から白眼視されることになったこの夫婦の苦悩の日々を描く。
もちろんこれを現代的感覚で読むことはできない。時代背景は封建的空気が未だ色濃く漂う明治である。姦通罪という不義を罰する法律があった時代であり、現代における“不倫の恋”などと同一視して軽い気分で読んだのでは主題の重さを感じることはできないかもしれない。

前作の『それから』では、主人公が友人の妻に恋心を告げ、それを友人本人にも打ち明け、結果それまでの生活をすべて破綻させたところで狂気を漂わせながら終わっている。
『門』ではそれを受けて、その後のひとまずの静寂を手にした夫婦の形に焦点を当てている。もちろん主人公も舞台設定も異なっていることは衆知のとおりである。
主人公宗助の苦悩を中心に描かれており、苦悩と向き合いつつも結局は答えや救いなどがない人生もあるということを示唆しながら終わる。
人の業深さを思わずにはいられない。
禅の門をくぐり、そこでわずかばかり滞留して再び門をくぐって帰ってきても、ついに自らの苦悩を解決できないまま、また再び静寂の生活に身を沈ませる。この様は身の始末をどうとも潔く処断できない人の弱さを十分に感じさせ、ある種の豪胆さを持った人は別として、いわゆる「その他大勢」の人々誰もが抱く心の脆さがどういうものかを考えさせる。

答えがない。
ない、ということにこの物語の本質がある。

このレビューは参考になりましたか?
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
同じものを見ても、若いときと歳を取ってからでは感じ方が全く異なることがある。

例えば、昔は七夕になると、「一年に一度しか会えないなんて、彼らはなんて悲しいんだろう。」と子供心に思ったものだ。それから歳月が過ぎ、いつからか、「一年に一度でも会えるなんて、彼らは幸福だな。」と思うようになっている自分に気付く。

本書をもし若いときに読んでいたら、宗助と御米の二人を、翼をもがれた鳥のように思っただけだったかもしれない。大空を飛翔することができずに、天敵を恐れ、ひっそりと身を隠し、声をひそめながら、地面に落ちたわずかな木の実を分かち合うつがいの鳥だ。

しかし四十代の半ばを過ぎて本書を読むとそれとは違った印象を受ける。

確かに彼らは希望を持たない。大空を飛翔し、森のむこう、山の彼方を夢見ることはない。そしてそれは寂しいことかもしれない。しかしその一方で、私たちが口にする希望の多くは、現実の欠落を隠蔽するための方便、味気ない生活をほんのひと時潤す詩でしかないことが多いようにも思う。

金持ちになりたいという希望は、金持ちでない人間だけ夢見ることができる。プロゴルファーになりたいという希望は、プロゴルファーでない人間だけが夢見ることができる。希望とは理想と現実のギャップから生まれるものだからだ。そして私たちが日頃目にする希望とは、この理想と現実のギャップから目を背けるための痛み止めに過ぎないのではないか。

また、人は過去にさえ希望を抱く。もしも東大に入っていれば今頃は・・・。もしもあの会社に入っていれば今頃は・・・。もしもあの人と一緒になっていたら今頃は・・・。などと、過ぎ去った日々を夢みる。(普通、これを後悔とか悔恨とか呼ぶ。しかし心理作用としては同じものだと思う。夢を未来に映し出すか、過去に映し出すかの違いにすぎない。)

宗助と御米はそうした希望を持たない。未来に対しても、過去に対しても。

道ならぬ恋に走った彼らは社会的な制裁を受け、希望に満ちた華やかな未来を失う。しかし二人は、安井を裏切ってしまったことに苦しみながらも、二人が出会ってしまったことを悔いてはいないように思える。

宗助は、「もしもこの女と出会わなければ、今頃はそれ相応の地位についていたろうに・・。」などとは思わない。御米もまた、「もしも、この人と一緒にならなければ、もっと豊かで平安な日々が送れていたろうに・・・。」などとは思わない。

二人は、夜毎、火鉢を囲んで、日々の出来事について静かに語り合う。時折、笑みを浮かべながら。時折、軽口を叩きながら。そして、ランプに照らされた二人の間には、ささやかな充足があるように思える。

私はこの小説を、暗い物語だとは思わない。
社会的な成功を勝ちうることが人生の目標であるとして、時として夢見ることを強要され、希望に翻弄されている今の私たちに、この小説は、運命を受け入れ、互いにいたわりながら、静かに暮らす一組の夫婦の物語として、新鮮な感動を与えると思うからだ。

私はこの小説を、四十代以上の夫婦に読んでもらいたいと思った。

有り余る体力、ほとばしる情熱を持てあました、希望と不安に満ちた青春が過ぎ去り、雨上がりの虹を見て、あるいは野に咲く花を見て、幸せを感じれとれる年代になった人たちにとって、この小説は、一つの啓示になりうると思うから。
このレビューは参考になりましたか?
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:文庫
前期三部作の最終作で、「それから」の"それから"を描いたもの。「宗助=代助」、「お米=三千代」の関係を明示してまでも大きなテーマの一環として本作を描いた漱石の意図が窺える。女中の名前が"お清"なのも偶然ではあるまい。

「義理を取るか女を取るか」の煩悶の末、女を取った代助の分身宗助は腑抜け状態になっている。お米は子供を授かれない身と言う天罰を背負っている。この勧善懲悪的な設定と、夫婦が肉欲的な愛情ではなく、むしろ友情によって結ばれている所に漱石の男女観を見る。二人の心理状態を季節の移ろいに託して巧みに描いている点も見逃せない。また、物語が純粋心理劇でありながら、巧みな構成で読者の気を逸らさない点は流石である。最後に宗助は宗教の「門」を叩いて救いを求めるが、勿論そう簡単に救いが得られる訳がない。宗助が「門」に対して考察する様は、カフカの「掟の門」を思わせる。この"救い"という観念は、その後の漱石の重要なテーマになる。

漱石が門人に辞典を適当に開かせて、たまたまその頁に載っていた「門」を題名にした本作。その題名に向かって素晴らしい構成で、前作の"それから"の有様と今後のテーマを打ち出した前期三部作を締め括る名作。
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夫婦の愛情が良く描けている
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思う。世間的な野心を捨てた宗助夫婦の細やかな愛情... 続きを読む
投稿日: 29日前 投稿者: ペリカン堂
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運命とは偶然か必然か
姦通罪という一つの罪により、
いかにも宗助の運命が定まってしまったように描かれているように感じた。... 続きを読む
投稿日: 3か月前 投稿者: triangle
こういう夫婦愛の形もありでは・・・、シミジミ
社会通念上許されぬ経緯を経て夫婦となったために、社会から孤立し崖下の安普請にひっそりと暮らす宗助と御米。とにかく意味もなく暗い作品という印象でしたが、今回読み直し... 続きを読む
投稿日: 14か月前 投稿者: オーナーオブ・ロンリーハーツクラブバンド
「父母未生以前本来の面目」は何か?
「十四」以下が圧巻。
辻邦夫の末尾解説もよかった。
三部作で最も好きな作品となった。
投稿日: 2010/2/16 投稿者: なますて
内容に言及しています、
ちょっとした落ち着きを感じる、夫宗助と、その妻御米(およね)、夫婦はひっそりと暮らしていていたのですが、宗助の弟小六(ころく)の学費の事で問題が発生し、交渉を行わ... 続きを読む
投稿日: 2008/12/9 投稿者: cobo
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投稿日: 2007/10/18 投稿者: ヒデボン
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投稿日: 2007/7/17 投稿者: それから
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投稿日: 2007/4/18 投稿者: 向島鳩居堂
漱石にしては・・・
夏目漱石の作品はとても好きなのですが、この作品については???です。... 続きを読む
投稿日: 2007/2/3 投稿者: カーマイン
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