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長州奇兵隊―勝者のなかの敗者たち (中公新書)
 
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長州奇兵隊―勝者のなかの敗者たち (中公新書) [新書]

一坂 太郎
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

戊辰戦争に勝利し、明治国家の中核となった長州藩。しかし、その栄光の歴史の陰には、好むと好まざるとにかかわらず戦い、斃れていった多くの無名の犠牲者が存在する。高杉晋作が創設し、勝利の原動力となった奇兵隊も、維新後は解隊命令が下され、内戦で多くの命が失われていった。著者は遺された史料や伝承をたんねんにたどり、懸命に生きた人びとの姿に光をあてる。違人伝や英雄譚ではない、本物の歴史がここにある。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

一坂 太郎
昭和41年(1966)、兵庫県生まれ。大正大学文学部史学科卒。現在、東行記念館副館長・学芸員を務め、また春風文庫を主宰し、幕末維新史料の収集・研究にあたる。講演・テレビ出演も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書
  • 出版社: 中央公論新社 (2002/10)
  • ISBN-10: 4121016661
  • ISBN-13: 978-4121016669
  • 発売日: 2002/10
  • 商品の寸法: 17.4 x 11 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 夜華
形式:新書
奇兵隊については革新系の研究者からは「身分差別のない革命軍」という伝説があった。今で
は「妄想」であるのは山口出身の歴史家達が口を揃えて言う。逆に言うと、その出身階層を
中核と成す故に長州藩や明治新政府から「捨て駒」として扱われ、その最後は過酷としかいい
様がない。

高杉晋作研究家である一坂太郎氏が伝説のベールを剥がし、彼ら奇兵隊が草莽諸隊としての悲
劇と末路を描く。そこには英雄はおらず、窮乏化する武士達と反逆者として墓すら建立できな
かった奇兵隊士しかいない。明治維新の勝者が、実は敗者でしかないという残酷なアイロニー
がここにも横たわる。

最近の山口は村塾英雄史観に背を向き始めており、山口出身の田中彰氏や故奈良本辰也は、明
治維新のもつ影の部分を抉り出しているが、この本も一坂氏が高杉ファンでありながら、奇兵
隊の持つ光と影を見事に描いている。

敗者の維新史として好著。
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6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
 
「高杉晋作の縁者だから結婚したくない」
「伊藤博文は成り上がり者だ」

明治維新の志士を書いた本は多くあるが、このようなネガティブな内容で始まる本はほとんどないだろう。
暗い世の中を変革する「英雄」を昨今の大衆は求め、NHKで放映中の「龍馬伝」を始めあちこちで「英雄」達が取り上げられている。
そういった小説やドラマは、歴史の流れを知るには取っ付き易いし、何よりおもしろい。
「友情!スリル!熱血!そして愛!」といった内容が描かれ、非常に感動的な「英雄譚」に仕上げられている。
が、しかし。それらを「史実」だと思ってしまうのは非常に危険だ。
「志士」達もやはり人間。完璧な人など存在せず、功罪両方がある。光のあたる場所には必ず影ができる。
歴史小説は「光」の部分ばかり(さらにライトアップの脚色つき)を取り上げている。
この本は、そういった本には書かれる事のない明治維新の「影」の部分を中心にした本である。

その「影」の中の一つ、タイトルにもなっている「長州奇兵隊」。
「奇兵隊」が四民平等で崇高な隊だと誤解されている事が多いが事実は必ずしもそうではない。
結成時から既に隊士は階級で区別されていた。維新が終われば隊は邪魔者扱いされ、士族で無い者からリストラされた。
最後は「天下に仇なす逆賊」として武力討伐され、追い詰められ捕らわれた者達も罪人として130人以上が処刑された。
しかもその命令は、倒幕を目指して彼らを率いたリーダー、木戸孝允自身によって出されたものであった。

その処刑された隊士達の慰霊碑が私の家のすぐ近くに建っている。だがこの本を読むまでそれを知ることはなかった。
県内でも志士だ英雄だと明るい部分を伝えられる事は多いが、こういった暗い部分が取り上げられる事は非常に少ない。
そういった大衆に対して、志士達自身も当時から違和感を感じていたようである。
故郷の人々は、維新前に彼らを不穏分子扱いし蔑んだ。ところが維新後は手のひらを返して英雄だと褒め讃えた。
生き残って政府の中心となった長州出身者が、後年に山口へ帰省することを好まなかったのは、
故郷の人々に対する複雑な想いがどうしても拭いきれ無かったからではないか、と著者の一坂氏は回顧録などからそう推測している。

彼らの想いを酌むならば、山口県民こそこのような「影」の部分を知っておくべきではないだろうか。
また、明治維新の英雄譚を読んで彼らに興味を持った方にも、是非読んで欲しい一冊である。
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