『長安牡丹花異聞』です。
松本清張賞を受賞してデビューした表題作を含む中国歴史短編集です。表題作を含めて唐(周)を描いた作品が多いです。
六作品いずれも歴史考証はしっかりしているようで、その上で物語が面白く、最後には大きなどんでん返しがいくつか待っていることもあり、目が離せません。歴史を知らない人でも予測不能なストーリーの面白さで楽しむことができて、歴史を知っている人は考証の緻密さに感嘆する、といった感じです。また、作者の持つ医学系理系知識も上手く盛り込んである作品が多いです。
完成度でいえばなんといっても表題作『長安牡丹花異聞』が圧巻です。安史の乱での蒙塵をユニークな視点でコミカルに描いた『殿(しんがり)』なども印象的です。他の作品もレベルは高く、ハズレは一本もありません。
評価は文句なしに★5です。